ピーマンのタバコガ類の発生に注意しましょう。登録農薬等についてまとめます。

前の記事ではホオズキカメムシについてピックアップしましたが、今回はタバコガ類について注意喚起してみようと思います。

タバコガ類は、気付かない内にピーマンの果実に食い込み食害します。
代表的なのはオオタバコガですね。

タバコガ類は若虫の内に侵入されると、侵入カ所によっては気付かない事も有ります。

収穫してきて切ってみてビックリなんていう事もよく有る害虫です。

中で成長している様子↓
ピーマン タバコガ

明るさにビックリしたのか、這い出してた様子。
画像の黒っぽい物はタバコガの糞です。
ピーマン タバコガ②



関東平地のオオタバコガの発生ピークは8月頃から。

オオタバコガについては過去記事でも取り上げていますので、生態について知りたいという方はチェックしてみて下さい。

オオタバコガは春先4月頃から発生する害虫ですが、関東平地の場合、その年の気象条件にもよりますが、発生が増えてくるのは7月後半からになります。

特に8月から10月頃にかけては被害が多くなってきますので注意が必要です


タバコガ類は一カ所に留まらず動き回ってあちこちの果実を加害します。
ヨトウムシ類と異なり、卵もあちこちの葉に産み付けられるため、防除が抜けてしまうと被害が甚大になりがちです。

被害が増えきていると思われる圃場では、タバコガに加害された実を確認する事ができます。
ピーマン タバコガ③

露地栽培の場合は、害虫の侵入が容易ですので、卵を産み付けられないよう蛾の飛来を見かけたら速やかに薬剤散布する事をお勧めします。

夜の街灯に集まっている虫の量が多い時期、車を走らせている時にライトに当たってくる虫の量が多い時期は、タバコガ類の動きも活発ですので、1~2週間に1回くらいのペースで薬剤散布をするようにして下さい。



ピーマンで使える農薬情報について

生育期中に使える「作物名ピーマンのチョウ目害虫」で登録をもっている主要農薬についてピックアップしておきます。
パプリカ・カラーピーマンについても使う事ができますので、薬剤選定で困る場合は活用してみて下さい。

以下は、2020年8月時の登録内容となります。
農薬の登録は、不定期に変更や削除になる場合が有りますので、ご利用になる際は、メーカーのHP等で最新の登録内容を見てから散布を行って下さい。

以下の登録内容にある「IRAC:〇〇」とは、簡単に言うと、薬剤系統(グループ)の簡易表記です。
この表記ができる前は、例えばアファームやアニキであればマクロライド系、コテツであればフェニルピラゾール系というように、カタカナ系統表記でした。

現在もこのカタカナ表記は残っていて使われていますが、これではなかなか覚えずらいという事も有り、現在は同じ系統の物をグループ表記で分類分けしています。
「IRAC:〇〇」という部分が被らないように薬剤散布を行う事で、害虫に対して違う角度からアタックできるだけでなく、害虫に薬剤耐性を持たれないようにするといった効果が期待できます。


●アクセルフロアブル
登録害虫:オオタバコガ
1000~2000倍/収穫前日まで/3回以内/散布/IRAC:22B

●アグロスリン水和剤
登録害虫:タバコガ
2000倍/収穫前日まで/5回以内/散布/IRAC:3(A)

●アタブロン乳剤
登録害虫:オオタバコガ・ハスモンヨトウ
2000倍/収穫前日まで/3回以内/散布/IRAC:15

●アディオン乳剤
登録害虫:タバコガ
2000倍/収穫前日まで/5回以内/散布/IRAC:3(A)

●アニキ乳剤
登録害虫:オオタバコガ・ハスモンヨトウ
2000倍/収穫前日まで/3回以内/散布/IRAC:6

●アファームエクセラ顆粒水和剤
登録害虫:オオタバコガ・ハスモンヨトウ
1500倍/収穫前日まで/2回以内/散布/IRAC:6・15
アファーム乳剤とマッチとの混合剤。

●アファーム乳剤
登録害虫:オオタバコガ
2000倍/収穫前日まで/2回以内/散布/IRAC:6

●カウンター乳剤
登録害虫:オオタバコガ
3000倍/収穫前日まで/4回以内/散布/IRAC:15

●カスケード乳剤
登録害虫:オオタバコガ
2000倍/収穫前日まで/3回以内/散布/IRAC:15

●グレーシア乳剤
登録害虫:オオタバコガ
2000倍/収穫前日まで/2回以内/散布/IRAC:30
グレーシア乳剤については過去時期でも取り上げています。

●コテツフロアブル
登録害虫:オオタバコガ
2000倍/収穫前日まで/2回以内/散布/IRAC:13*

●スピノエース顆粒水和剤
登録害虫:オオタバコガ
2500~5000倍/収穫前日まで/2回以内/散布/IRAC:5

●ダブルシューターSE
登録害虫:オオタバコガ
1000倍/収穫前日まで/2回以内/散布/IRAC:未・5
サンクリスタル乳剤とスピノエースとの混合剤。

●ディアナSC
登録害虫:オオタバコガ・ハスモンヨトウ
2500~5000倍/収穫前日まで/2回以内/散布/IRAC:5

●トルネードエースDF
登録害虫:オオタバコガ
2000倍/収穫前日まで/2回以内/散布/IRAC:22A

●ファルコンフロアブル
登録害虫:オオタバコガ・ハスモンヨトウ
2000~4000倍/収穫前日まで/2回以内/散布/IRAC:18

●フェニックスジェット
登録害虫:オオタバコガ
くん煙室容積400立方m(床面積200㎡×高さ2m)当り50g/収穫前日まで/2回以内/くん煙/IRAC:28
ハウス栽培、ハウス内で使う農薬です。

●フェニックス顆粒水和剤
登録害虫:オオタバコガ
2000~4000倍/収穫前日まで/2回以内/散布/IRAC:28

●プレオフロアブル
登録害虫:タバコガ類
1000倍/収穫前日まで/2回以内/散布/IRAC:UN*
どちらかというと小型幼虫を得意とする為、若齢の内に使用すると良い。

●プレバソンフロアブル5
登録害虫:オオタバコガ・ハスモンヨトウ
1000~2000倍/収穫前日まで/2回以内/散布/IRAC:28

●ベネビアOD
登録害虫:オオタバコガ
2000~4000倍/収穫前日まで/3回以内/散布/IRAC:28

●マッチ乳剤
登録害虫:オオタバコガ
2000倍/収穫前日まで/4回以内/散布/IRAC:15

●マトリックフロアブル
登録害虫:オオタバコガ
1000~2000倍/収穫前日まで/3回以内/散布/IRAC:18

●ヨーバルフロアブル
登録害虫:オオタバコガ
2500~5000倍/収穫前日まで/3回以内/散布/IRAC:28
ヨーバルフロアブルについては過去時期でも取り上げています。

●ランネート45DF
登録害虫:タバコガ・ハスモンヨトウ
1000~2000倍/収穫開始14日前まで/4回以内/散布/IRAC:1(A)
人毒性があるので防護資材は必ず着用し、温度条件や作業時間にも注意する。
特にハウス内使用は注意し、必ず換気をしながら利用する。


登録害虫でオオタバコガしか書かれていない農薬も、多くはハスモンヨトウに効果が有ります。
ハスモンヨトウの発生が見られる際も上記の薬剤を上手に活用して頂ければと思います。

薬剤系統について少し補足しておきますが、IRAC:15、18に該当する農薬は、IGR系統の殺虫剤です。
IRAC:15の殺虫剤は脱皮を阻害(脱皮をさせないように)する作用が有ります。
対照的にIRAC:18の殺虫剤は、脱皮を促進(新しい体がしっかり出来上がる前に脱がしてしまう)作用が有ります。

これらIGR系の殺虫剤は、交互に組み合わせてやることで殺虫剤散布による取りこぼしを減らす事ができますので、例えば単発速効型の殺虫剤(例えばアファーム、アニキ、スピノエース、ディアナSC等)と組み合わせて使う事で、作物体を一定期間防除するのに貢献します。


アクセルフロアブル、トルネードエースDF、フェニックス、プレバソン、ヨーバルといった農薬は、大型チョウ目を得意としており、おおむね2週間程度の残効があります。
ハスモンヨトウに対しても有効な薬剤です。

オオタバコガの発生が見られる際は、フェニックス剤等、いずれかの薬剤はローテーションの軸に必ず入れておきたい薬剤です。

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まとめ

今回は、ピーマンのタバコガ類の注意喚起と対策についてピックアップしてみました。

カメムシの時とは異なり、チョウ目害虫薬剤についてはそれなりに充実しています。

家庭菜園の場合、小さい規格の商品も有ります。
アディオン乳剤、アファーム乳剤、アニキ乳剤、コテツフロアブル、フェニックス顆粒水和剤については、家庭菜園向けの100ml・100gボトルが有りますので、いずれかは持っておくと良いでしょう。

綺麗なピーマンを収穫する為には本格的なチョウ目防除が必要な時期となりますので、圃場をよく観察して対処して頂ければ幸いです。


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