話題の殺虫剤、グレーシア乳剤の評価は??使用感やお勧めの使用ポイント等についてご紹介!(抵抗性コナガ・アファーム乳剤の現状についてもレビュー)

2019年度に発売されたグレーシア乳剤も生産現場に一通り行きわたり、使い勝手の良し悪しがわかってきた頃かと思います。

グレーシア乳剤は、農薬殺虫剤の分類分けコードであるIRAC30に分類されます。
これまでに無かった神経系統に作用する新規系統の殺虫剤です。

メーカーの売り込み文句としては、残効長め(おおむね2週間くらい)でコナガを含むチョウ目害虫とアザミウマなどにもよく効くという事で脚光を浴びています。

商品規格は250mlと500mlの2規格。
総合評価としては非常に良い殺虫剤です。

葉菜類はおおむね2000~3000倍の希釈倍数ですので、500Lタンクの方には250ml規格が使いやすいと思います。

浸透移行性は期待できませんが、多少の浸達性(葉表から葉裏に成分が抜ける)といった作用が有ります。
散布ムラまでカバーできるほど強くは有りませんので、葉裏までしっかり散布した方が良い薬剤です。

スポンサーリンク
Amazon:グレーシア乳剤 検索



グレーシア乳剤の実際の使用感

生産現場で使用している方の意見を伺ってみると、コナガやアザミウマについてはメーカーの評判通り、まあまあ効いている感じがしました。

私自身、薬は使用するタイミングと使い方次第と考えているので、100%メーカーさんの言う事が正しいとは思っていませんが、わきはじめのコナガにはかなり有効な薬かなぁと思います。

まだコナガがそれほどわき始めていない時期に単剤で薬剤散布してみると、後から発生するコナガの幼虫の幼齢(サイズ)がそろっているような印象がありますので、コナガに対しては比較的取りこぼしが少ないような印象です。

ただ、これは散布タイミングにもよりますし、若齢なのか老齢なのかによっても効果が異なるかもしれません。
私の評価としては、コナガについては一旦はリセットに近い状況に持っていけそうな感触です。
普通、取りこぼしが多いと、幼虫のサイズがまばらになってしまうからです。

しかしながらあくまでわき始めでの感想なので、老齢幼虫に対して使うのはちょっと怖いかなと思います。
この辺りは生産現場で評価が異なってくるでしょう。

アザミウマについても、ネギについているネギアザミウマの様子を見ていると、それなりに効いているような印象を見受けられます。

近年問題となってきているシロイチモジヨトウに対してもよく効いているという印章です。
比較的老齢でもしっかり体内に取り込んでいれば効果が出るという印章を受けます。
ただ、シロイチモジヨトウは老齢サイズでも2㎝弱程度の大きさなので、ハスモンヨトウ等の大きさを基準に防除していると取りこぼしてしまいます。

コナガだけでなく、ヨトウ類その他についても若齢の内に使っておくのが無難です。


グレーシア乳剤には苦手な虫もある?

メーカーも話しておりますが、アブラムシに対しては効果が期待できません。

アブラムシ対策をするのであれば、作っている作物によって登録を見なければなりませんが、アドマイヤー剤トランスフォームフロアブルコルト顆粒水和剤ウララDFなどを併用すると良さそうです。

それと個人的な感想ですが、中老齢のオオタバコガはちょっと苦手なのかな?という印象を受けます。

この辺りはアファーム乳剤フェニックス顆粒水和剤ベネビアODの方が卓効といった印象です。

グレーシア乳剤がオオタバコガに効かないか?というと、ppm値等を考慮しても十分な効果は期待できます。
ただ、グレーシア乳剤には強い浸達性や移行性が無い為、散布ムラの影響も出やすいのではないか?と感じます。

フェニックスも浸達や移行性は無いので、グレーシア乳剤同様の取りこぼしリスクは有りますが、オオタバコガに対しては既存剤の中では非常によく効いおり、信頼性も高く、生産者も使い慣れている事もあって、良いイメージが強いです。


散布ムラだけでなく、生育旺盛期になると作物成長に伴って薬液がかからない部分がどうしても出てしまいます。
そういった部分に居る害虫はすこぶる元気に見えますので、タイミングが悪いと「全く効いていない!」という印章を受けるかもしれません。


加えて、長野県あたりではウワバに対して全く効かないという話があるようです。
大抵のチョウ目剤はウワバに対しても十分効果を発揮しますが、グレーシアはこの辺りは苦手なのかもしれません。
データ不足な所は否めませんが、チョウ目の老齢幼虫に対しては少し怖いかな?と感じてしまう所です。

また、トマトの例ですが、コナジラミについてもALLステージOKという薬ではないので、黄化葉巻病で困っているような生産者の方は十分ご注意下さい。



残効2週間はいかがなものか…

あくまでメーカー試験上のデータなのだと思いますが、メーカーさんは2週間程度の残効をうたっています。

ただ、実際に圃場に落としてみた場合、私個人の感想としては1週間もってるかな?という感想です。

近年出てきた殺虫剤の中では、即効的で効果も◎という印象ですが、メーカーさんが言うほど残効は無いな…という感じです。

ただこの辺りについては、作っている作物であったり生産者それぞれの感覚というものがあると思うので、効いている人は過大に「効いている!」という方もいらっしゃるでしょう。

しかしながら、生産現場は大抵3種、4種混合は当たり前だと思いますので、実際どれだけの方が単剤で使ってみた感想を言っているのだろう?という感じではありますが…

また、夏場で紫外線の強い時期に使用すると、紫外線分解の影響か、残効は短くなる印象です。

圃場条件によっても異なりますので一概には言えませんが、グレーシア乳剤を散布して、1週間くらいしたら次のローテを検討しておくと良いでしょう。


グレーシア乳剤の使いどころは?

あくまで個人的な感想ですが、コナガが問題となるアブラナ科野菜においては、コナガの発生初期(わきはじめ)くらいに一発入れておくと良いかなぁという感想です。

良い薬だとは思うのですが、過去の薬剤で老齢多発時に使って失敗した薬もいくつかあるのを知っているので、私個人としては若齢の内に使うのが良いと考えます。

先に挙げたシロイチモジヨトウ等のヨトウムシ類やタバコガ類に対しても、若齢の内に使っておく事がお勧めです。
但し、移行性は有りませんので、結球作物であれば、結球までの間に2回くらいは使っておきたいかなと思います。

結球しない作物の場合、生育初期の内に1回、ある程度新葉が展開してきた時に1回という感じで、生育別に使い分けると良いでしょう。

苗どころに関しては試しておりませんが、メーカーさんや使われた生産者の方の話を聞いている限りですと、安全性は比較的高い薬なのかな?と勝手に考えております。
苗使用については、メーカーさんの実績が積みあがってきてから検討しようと思います。

アザミウマについては、こちらもよく効いている印象ですので、特にネギにおいてはローテーションに入れても良いと考えています。

近年は関西エリアから関東に北上した新型のネギハモグリバエも出てきており、年々被害が増えておりますので、ハモグリ対策剤としてもローテーションには加えられると思います。
リーフガードやベネビアOD、カスケード等との併用またはローテーションで使ってみると良いでしょう。

個人的にはローテーションの1剤として、カスケードなどのIGR系統の薬剤(脱皮阻害や脱皮促進の薬)等、薬剤系統が異なる物と併用、または混用散布するのがお勧めと考えています。



グレーシア乳剤とアファーム乳剤における抵抗性コナガに対する薬剤感受性の状況について

抵抗性コナガに対しての生産現場におけるグレーシアの評価は先に挙げた通りですが、グレーシアの感受性低下といった話は今の所ありません。
抵抗性コナガが出ているような各地域のコナガに対する検定検査では、致死率100%といった所です。

この結果だけを見ても、抵抗性コナガの部分については、グレーシア乳剤という剤は一級品である事が伺えます。

これに対して近年抵抗性コナガでリバイバル(改めてローテーション剤として復活)しましたシンジェンタの「アファーム乳剤」についてはどうなのか??という所が気になる部分ですが、シンジェンタジャパン内を含む各地域のコナガに対する感受性検定試験では1000倍希釈、2000倍希釈ともに致死率100%という結果となっています。
ちなみにアファームエクセラについても、それに順する結果となっています。

アファームについては、生産現場では「効かない」とか「高い」といった声を私もよく聞きますが、実効果面の部分では、他のチョウ目剤が感受性検査で効果のブレが出ている中、まだまだ高い殺虫効果を出している状況です。
グレーシア同様、抵抗性コナガの面では、アファーム剤についてもローテーションの1剤は固いかなという印象です。


どちらにしてもこういった速攻的な薬剤は、メーカーが言うほど残効は長くない薬剤です。
成虫や卵の数が多ければ次世代の発生も当然見られますので、効かないといった印象を受けやすくなります。

紫外線分解速度についても使う時期によって異なります。
日照時間の短い春先と日照時間の長い夏場とでは、紫外線を受ける時間も変わってきますので、残効にも影響が出るでしょう。

メーカーや各都道府県で行っている感受性試験内容は、リーフディスク検査という薬剤を付けた葉を虫に食べさせて死ぬかどうか?という「ポイントだけ」を見る検査が主体となりますので、生産現場のような広い面積での薬剤散布では、どうしてもムラが出やすいです。

ですので、生産者の皆様にとっては日頃からお気遣い頂いている事と思いますが、薬剤抵抗性を持たれないようにする為のローテーション散布であったり、倍率を改めて守る事が必要となります。
遅効性薬剤や殺卵作用のある薬剤と混用・併用したり、展着剤を可溶して作物体にまんべんなく薬剤がかかるように工夫するといった対策も必要です。


まとめ

総合的にいうと、グレーシア乳剤は悪い薬ではないなと思います。
近年発売された農薬の中では一級品である事は間違いないでしょう。

アブラムシと一部の害虫を除けば主要害虫はそれなりにいけるのでは?という印象です。

ただ、残効はいうほど長くないという印象がありますので、1週間くらいを目途に次の薬剤ローテを考えていった方が無難かなという印象です。

脱皮阻害剤(促進もあります)であるIGR系の薬剤や、殺卵作用のある剤との併用をお勧めします。

脱皮を阻害するタイプの薬だと、マッチ乳剤カスケード乳剤アタブロン乳剤ノーモルト乳剤
脱皮を促進するタイプの薬だとファルコンフロアブルなど。

混合剤であればアファームエクセラファルコンエースフロアブルなども個人的にはお勧めです。

ファルコンエースフロアブルに含まれるファルコンは、脱皮阻害ではなく促進する製剤です。
私的には脱皮阻害と促進とを定期的に入れ替えながらローテーションするのがお勧めだと考えています。

殺卵作用のある薬だとハチハチ乳剤やノーモルト乳剤など。
ただハチハチ乳剤の場合は臭いがキツイですけどね…(苦笑)
作物が見合えばアクセルキングフロアブルなどもお勧めです。

これらの薬をうまく用いながらグレーシア乳剤を使ってみて下さい。


スポンサーリンク
Amazon:グレーシア乳剤 検索
Amazon:ネギ 農薬 検索
Amazon:展着剤 検索



“話題の殺虫剤、グレーシア乳剤の評価は??使用感やお勧めの使用ポイント等についてご紹介!(抵抗性コナガ・アファーム乳剤の現状についてもレビュー)” への5件の返信

  1. すごく詳しく現場主義のブログを発見できてとても嬉しいです。
    今後も参考にさせて頂きます。
    当方 大阪で葉物野菜を生産してます。抵抗性コナガに悩まされております。ヨーバル使用してますが収穫期になるとやはりコナガがわいてきます。いろいろ試行錯誤してますが
    また良い情報をギブアンドテイクできたらなぁと思います。
    また読ませていただきます。
    ありがとうございます。

    • >やさいや様
      コメント頂きましてありがとうございます。
      つたないブログですが関心を持って見て頂けて恐縮です。
      葉物野菜を作られているとの事ですが、キャベツやはくさいでしょうか?

      ヨーバルは後発ジアミド剤ですが、個人的には非常に良い薬だと思っています。
      今の所はベネビア同様、抵抗性コナガに対しても使える薬剤となっています。
      ただ、化学式は異なりますが構造が類似する部分もありますので、交差抵抗性をもたれないように連用を避けてローテーションで使って頂ければ幸いです。

      私の見る限り、関東ではグレーシアやアファーム等の他に、ファインセーブフロアブルもコナガによく効いている印象です。
      単剤の場合は1000倍、他の薬剤と混合する場合は2000倍といった使い方です。
      グレーシア等と同様、コナガの発生初期くらいまでに使うと良いと思います。
      他にお勧めできる物としては…
      2020年度は、中国での工場問題などが有りリーフガードがメーカー欠品しておりますが、リーフガードはコナガの殺成虫剤としても使われていますので、ファインセーブとの相性も非常に良いです。
      機会が有ればお使いになってみて下さい。

      昨年は、キャベツやハクサイ場でコナガが抜けなかった際に、「グレーシア+フェニックス」、「ファインセーブ+フェニックス」といった組合せでのスポット散布をされている生産者の方をよく見かけました。
      コストはかかりますが、落ち着いたという話も伺っています。
      個人差も有るかもしれませんが、防除の参考になれば幸いです。

      • すごく詳しい返信ありがとうございます。こちらは小松菜や春菊を栽培しています。
        高温小雨のためか、ヨトウ虫系が大発生して今日も高値の春菊を破棄しました。。
        あと少しこの様な状況だと思いますが頑張ります。
        また拝見させていただきます。しかし ヨトウも 1度付いてしまうと なかなか落ちませんね。

        • >やさいや様
          コマツナと春菊を作られているのですね。
          ヨーバルフロアブルを使われているのが理解できました。
          関西以西のジアミド抵抗性の様子が気になる所ではありますが、ヨーバルは良い薬だと思います。
          薬害リスクは非常に低い剤ですが、オイルベースではありませんので展着剤は必ず使って下さい。
          使わないと作物によっては効果がブレると思います。
          ヨーバルの非結球アブラナ科葉菜類(コマツナ)は今の所は5000倍使用なので、大型葉菜のように2500倍使用でいけるとアブラムシ類も同時防除できるので良いんですがね…

          関東も7月は長雨でしたが水没やたたきつけられるような雨は少なかったので、思いのほか虫は湧いてきている感があります。
          盛夏を過ぎる頃になるとヨトウも沢山増えてきますので防除が大変です。
          気候的にはむしろここからがヨトウ右肩上がり時期に入ってきますので、まだまだご注意下さいといった所です。

          使われていると思いますが、コマツナで登録を取っているチョウ目向けの薬剤としては、アファーム乳剤、コテツフロアブル、ディアナSC、プレオフロアブルくらいしかありません。
          プレオはどちらかというと小型~中型害虫向けなので、わきはじめ位までの使用が無難でしょう。
          非結球アブラナ科葉菜類で大型チョウ目に登録の有る薬剤でいうと、アクセルフロアブル、プレバソンフロアブル5、マッチ乳剤、スピノエース顆粒水和剤、マトリックフロアブル、フェニックス顆粒水和剤、アニキ乳剤等も該当してきます。
          マッチとマトリックはIGR系統の薬剤で、マッチが阻害に対してマトリックが促進といった作用が有ります。
          特に発生初期~中盤にかけてはIGR剤との組合せは効果的です。
          圃場にいるチョウ目幼虫のサイズは様々なので、適度に阻害と促進を使い分けると良いと思います。
          高温や高濃度等、条件が悪いと薬害リスクも有りますが、使い慣れているようであれば「スカッシュ(展着剤)」との組合せも良いです。
          若虫はスカッシュだけでもかかるともだえます(苦しがる)。

          春菊も夏場に作られているのですね。
          高温での春菊栽培は物が良ければ相場も良いのだと思いますが、花が上がったり炭疽等の病気との戦いも有って大変ですよね。
          ハウスも露地も、特に今年は長雨の影響でご苦労されているのではないかと思います。
          殺菌剤も少ないのでコントロールが難しいですよね。

          まだまだ酷暑ですので十分御自愛下さい。

          • すごい詳しく教えていただきありがとうございます。
            こちらでは春菊は炭疽病でなく
            はがれ病(正式な呼名?)が、よく出ます。アミスターやストロビーなどもあまり効果が見えないので今年はクプロシールドをメインに使ったところ 病気はあまり出てません。
            Zボルドーは扱いにくいのでクプロシールドを重宝してます。ストロビーと混用すると薬害が出るので注意です。
            まだまだ暑く天気が不順ですが頑張って下さい。ではでは。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*