ピーマンやパプリカ等のホオズキカメムシ被害に注意しましょう。防除対策と農薬情報についてまとめます。

8月に入り本格的な梅雨明けとなり、全国各地で連日猛暑日が続いていますね。
2020年は酷暑だなと日々感じています。
人間には大変キツイ季節ですが、害虫さんたちは元気なようです。

今回は果菜類(ピーマンやパプリカ)を加害するカメムシ「ホオズキカメムシ」についてピックアップしてみようと思います。

ホオズキカメムシは水田の斑点米カメムシ類と同じくらいメジャーなカメムシの1つです。
インターネットでもよく名前や画像が上がっていますね。

記事の後半は農薬情報についても取り上げますので、関心が有りましたら目次からご確認下さい。



ナス科植物が大好き!ホオズキカメムシ

ホオズキカメムシは、ヘリカメムシ科のカメムシで、ホオズキを含むナス科作物(ナス・トマト・ピーマン等)を好んで加害する害虫です。
サツマイモなどのヒルガオ科作物、タバコやナシ等にも寄生するカメムシで、多くの作物を加害します。


成虫の大きさは12㎜程度。
カメムシの中ではあまり大きくない部類とされていますが、農業現場では大型種なほうだと思います。

日本国内では本州、四国、九州、沖縄、一部海外などで見られる害虫で、国内の場合、地域性はありますが6月~10月頃にかけて被害が多く見られます。

雌成虫は、葉裏に10~30粒程度、まばらに産卵します。
幼虫や成虫の加害としては、茎や葉から吸汁します。

ローテーションでアブラムシ防除剤を散布しておけば、それほど問題となる害虫ではありませんが、発生頻度や発生密度が高いカメムシなので、多発させてしまうと新葉や株の萎縮が起こり、作物の成長に影響が出ます。

また、カメムシ特有の悪臭を出す為、それが果実に付いてしまうといった被害も出たりします。


ホオズキカメムシは生活環にも特徴があるカメムシで、人間でいうところの一夫多妻制のようなハレム(ハーレム)を作ります。
縄張りのようなものもあり、昆虫の行動研究学等でも取り上げられている昆虫です。

このページでは割愛しますので、詳しく知りたいという方は、ウィキペディア等にもよく書かれていますのでチェックしてみて下さい。



ホオズキカメムシの発生は、とにかく気持ちが悪い!

単純にそれなりに大きいから!という理由も有りますが、先にも挙げたようにハレムを作る害虫なので、防除が抜けてしまったりすると、気付くと大量にわいてしまう事が有あります。

虫さん大好き!という方は別でしょうが、そうでない方の場合、集団でいるカメムシを発見してしまったら絶叫ものだと思います。


画像は消毒が抜けてしまったパプリカ(カラーピーマン)の株です。
白っぽいのは3齢幼虫くらいでしょうか。
3齢幼虫くらいになってくると活発に動き回ります。
画像の中だけでも中央付近に1匹、花の近くに1匹、合わせて2匹確認できますね。


ちょっと葉っぱを動かすと居るわ居るわ………
幼虫の他に、茶色っぽく褐色になったのは終齢幼虫くらいでしょうか………


更に同じ株を探ってみると、あちこちにしっかり居ついています。


いやぁ…気持ち悪い。
これが魚釣りだったら大漁で気分最高ですが、カメムシさんは勘弁です。

これだけ集団でたかられると株が心配になります。

画像なので断片的に見えますが、実際は株にビッチリと取りついています。


このようにホオズキカメムシは1つの株に対して集団で発生する場合が有ります。

よくよく観察していると、動き回っている個体は少なく、葉や茎を吸汁している個体が目立ちます。



ホオズキカメムシの耕種的防除対策について

ホオズキカメムシは、他のカメムシ類と同様、近隣の雑木林や雑草等から飛来してきます。

有機無農薬栽培等で天敵昆虫の繁殖を行っている等、何かしらの特別な理由が無いようであれば、施設や圃場周辺のカメムシ類の隠れ家となる場所(住処)を無くす(除草する)ようにして下さい。

雑木林を無くす事は困難だと思いますので、畑周りの雑草防除に重点を置きましょう。
雑草の花粉につられてカメムシ類は飛来してきます。


施設栽培の場合、施設開放部に防虫ネットを付ける(既に付いている場合は、破れや抜け穴となる場所が無いかを確認する)方法が一般的です。
他の害虫対策にもなりますので、劣化の具合などもチェックしておくと良いでしょう。

どちらかというと家庭菜園向けの内容となりますが、露地栽培でも害虫の侵入や被害が多い場合は、防虫ネットをかぶせるといった対策が有効です。

防虫ネットを設置する場合、カメムシに限った事では無いですが、卵を産み付けられる前にかけておく必要が有ります。
害虫が飛来してくる前に設置するようにしましょう。


既に発生してしまっている場合は、密度が少ないようであれば人力で駆除するという方法も有ります。
一般的な対応としては、箸でつまんで取り除いたり、ガムテープの粘着面を利用して捕虫するという方法が有ります。
直接触るとカメムシが出す悪臭が手に付いて大変な事になりますので、触らないのが無難です。


余談ですがカメムシ類にも天敵がいます。

具体的には、カエルやトカゲ、鳥等といった動物や、カマキリ、クモ、トンボ、肉食系カメムシ等といった捕食系の昆虫です。
これらの他にも、カメムシ等の卵や成虫に寄生する寄生蜂等がいます。

ですが、これらの天敵をホオズキカメムシにピンポイントでぶつける事は困難です(各々食べやすい・寄生しやすい獲物にアタックする為)。

自分で畑を細かくチェックできる小さい圃場面積であれば、天敵・有用昆虫や動物を増やすような栽培スタイルも良いと思いますが、手が回らないような圃場面積の場合、圃場内外がゴチャゴチャしてくると、チョウ目害虫やその他の害虫被害も出やすくなります。

細かくチェックできない規模の圃場面積や、人の手では処理が面倒だという害虫発生状況であれば、農薬による防除を行うと良いでしょう。
ホオズキカメムシの場合、見つけてからの対処でもしっかり防除できます。



ピーマン・パプリカを加害するカメムシ類に使える農薬について

パプリカ・カラーピーマンは、大きな作物分類だと「野菜類」で登録を取っている農薬と、「ピーマン」で登録を取っている農薬が使用できます。

但し、野菜類で登録を取っている殺虫剤の場合は、どちらかというとチョウ目害虫が主体となってきますので、こちらの記事では、作物名「ピーマン」の「カメムシ類」で登録を持っている主要な薬剤リストを紹介しておきます。

以下は2020年8月時点の登録内容となりますので、お使いになる場合は最新の登録内容を確認してから使うようにして下さい。
農薬の登録内容は、不定期に登録の変更や削除をされる場合が有ります。


●アディオン乳剤
2000倍/収穫前日まで/5回以内/散布/IRAC:3(A)

●アルバリン顆粒水溶剤(JA品はスタークル顆粒水溶剤)
2000倍/収穫前日まで/2回以内/散布/IRAC:4A

●ダントツ水溶剤
2000~4000倍/収穫前日まで/2回以内/散布/IRAC:4A

●マラソン粉剤3
3kg/10a/収穫前日まで/5回以内/散布/IRAC:1(B)


作物名ピーマンのカメムシ類で農薬登録を取得している物は意外と少ないです。


IRACコード3はピレスロイド系(合成ピレスロイド系(略して合ピレ)とも呼ばれます)。
昔からある薬剤系統で、幅広い害虫に対して効果が有ります。
一部の害虫に対して忌避的な作用もあります。
一般家庭向けのスプレー殺虫剤(例えばキンチ〇ール)等でもこの系統の物は多いです。

IRACコード4Aはネオニコチノイド系
浸透移行性があり残効が長いといった特徴が有ります。
アブラムシやアザミウマ対策剤としても使われる薬剤系統です。
ネオニコチノイド系の中でもアルバリンやダントツはカメムシ類に対して高い効果が有ります。
カメムシ類登録はありませんが、アルバリンやダントツは粒剤も有り、生育期中に使う事が出来ます。

●アルバリン粒剤
1g/株/生育期 但し、収穫前日まで/2回以内/株元散布

●ダントツ粒剤
1~2g/株/定植後 但し、収穫前日まで/2回以内/株元散布


IRACグループ1は有機リン系
ピレスロイド系同様、昔からある薬剤系統です。
良し悪しは有りますが、いわゆる「皆殺し系」の殺虫グループです。
カメムシ類登録は有りませんが、マラソン乳剤もピーマンでは使う事ができます。

●マラソン乳剤
2000~3000倍/収穫前日まで/5回以内
マラソン乳剤は浸透移行性がありますので、吸汁性害虫に対して効果が有ります。
残効が短く残留効果は比較的少ないといった特徴が有ります。


薬価としては、ピレスロイド系よりもネオニコチノイド系や有機リン系の方が安価です。
残効としては有機リン系よりネオニコチノイド系の方が長くなります。

散布剤は、一般家庭菜園向けの小さい規格商品も有りますので、上手に活用してみて下さい。


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まとめと余談

今回はピーマンやパプリカで被害が出やすいホオズキカメムシについてピックアップしてみました。

専業の場合ですと、大抵の場合はアブラムシやアザミウマ剤をローテーションに組んで散布していると思いますので、画像のように大量に発生するというケースは少ないと思います。

どちらかというと家庭菜園のほうが被害が大きいのではないかな?と思います。

ただ、ちょっと防除の間隔があいてしまったり、葉が密集してしまって通気性が悪いような状態で油断していると、この時期には結構わいてしまう害虫です。

アルバリン剤あたりは専業の方も使っている薬剤ですし、家庭菜園でも結構お勧めできるカメムシ対策剤ですので、ローテーションに向いていると思います。
家庭菜園の方であまりお金をかけたくないという場合にもお勧めです。

気温の変化とともにチョウ目害虫の侵入も増えてきますので、カメムシ類に限らず定期的な防除をお勧め致します。


余談ですが、私は実験用に自分で食べる用の作物として、いくつかの品種を作っています。
薬害の出方を見たり、わざと無農薬で害虫の発生を見たりしています。
画像で紹介したパプリカもその中の1株です。

ちなみに、今回は効果と薬害有無を見たかったので、登録外使用になりますが、水田で使われているカメムシ専門剤「キラップフロアブル」を薄く希釈して、カメムシに向けてまいてみました。

結果は?というと、散布後1日で見事にいなくなりました!
さすが水田のカメムシ専門剤!
ちなみに葉の褐変や萎縮等の薬害も無し。
夕方に散布しましたが、8月のハウス内なので日中は超高温です。
マジか…やるなキラップ!という感じでした。

キラップフロアブルはプリンス剤と同じIRACコード(IRAC:2(B))で、フェニルピラゾール系の殺虫剤です。
ちなみにカンキツやリンゴではアブラムシ類の登録も持っており、一部のチョウ目害虫にも効果が有ります。

これだけシャープに効くなら混合剤でも良いので果菜類向け商材として販売して欲しいところです。

しかしながら、販売目的の作物での農薬の登録外使用は本来NGです。
上記は私的な実験ですので、そうではない場合、作物残留などをチェックされたらアウトです。
市場や直売所出し、契約栽培の方は登録外での使用は絶対にやめて下さいね。


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