今さら聞けないモゲトン剤の特徴と使い方。藻類発生についての原因・基礎知識について

地域にもよりますが6月上旬くらいになってくると、関東の平場あたりは田植が一通り落ち着いてくるような頃合いになってきます。

その時の天候・気温等の状況によって発生状況は異なりますが、アオミドロ等の藻類が目立ってきます。

アオミドロ対策となるような水稲初期除草剤を散布していないような圃場、代かきから田植までの日数が開いてしまうような圃場では、早い段階から藻類の発生が目立つような時もあります。

代かきから田植までの日数が短く、水稲一発除草剤しか使わないような圃場であっても、アオミドロ・藻類が発生してしまうような場合も有ります。

例えば、除草剤の処理が丁寧でない場合や水管理で日上がってしまった場合、あるいは降雨等の影響でオーバーフロー、かけ流しのような状態になってしまった場合等。
このような状況下だと水稲除草剤の効果が十分発揮できない場合が有ります。

また、除草剤自体にアオミドロを抑制するような成分が入っていない場合や除草剤の薬効が切れてくると水田雑草と同じ様に発生してくる場合も有ります。

水稲 アオミドロ①

アオミドロ・藻類の発生が酷い圃場を見ると、稲が隠れてしまっていたりして印象も良くありません。

このようなアオミドロ・藻類を放置してしまうと稲体が十分な光合成を得ることができませんので、生育に影響します。
浮き草によって植え付けた稲が浮いてしまったり、水温の低下による悪影響を受けてしまう場合も有ります。


水稲一発除草剤処理後にアオミドロが発生してしまうような場合ですと、雑草対策として中期除草剤を散布して雑草対策をする必要が有りますが、この際に藻類が発生していると、除草剤を散布しても十分な拡散・効果が発揮されません。

そこで使わざるを得なくなってくる薬剤が「モゲトン剤」です。

今回は、今さら聞けないモゲトン剤についての特徴・基礎知識と、藻類発生の原因・基礎知識について、メーカーさんの資料を基にQ&A形式で書いていこうと思います。


モゲトン剤の特徴・基礎知識について

メーカーさんの資料を基に、Q&A形式で書いていきます。

Q:モゲトン粒で効果のある草種は?
A:モゲトン粒は、ウキクサ・アオミドロ・表層はく離・ヒルムシロ・ウリカワの専用除草剤です。

Q:モゲトン粒剤の色は何色?
A:オレンジ色です。

Q:モゲトン剤は、藻類や表層はく離に対してどのように作用するか?
A:光合成を阻害する事で速効的な効果が表れます。

Q:散布に適した気象条件は?
A:快晴の日を選んで、散布後4日程度は良い天候が続くのが望ましいです。

Q:モゲトン剤の効果が一番上がる散布時間帯は?
A:快晴の日の朝散布が最も効果的。

Q:快晴の日の朝に散布すると、どの位で効果が表れるか?
A:半日~1日で効果が表れます(藻類が枯れます)。

Q:モゲトン剤の効果が遅く表れる時の天候は?
A:曇天日の場合は、藻類の光合成が鈍る為、2~3日で効果が表れます。

Q:田植した日をゼロ日とした場合、モゲトン剤は前後何日の間隔をあければ良いか?
A:±3日あけて下さい(-3日:効果が半減する日数、+3日:根の活着までの日数)

Q:モゲトン剤の雑草に対する効果は?
A:モゲトン剤を処理する事で、田面がオレンジ色になっている間は雑草を枯らす力はありませんが、雑草の生育を抑制する効果があります。

Q:水稲除草剤処理前のモゲトン剤散布タイミングは?
A:2~3日前が効果的です。藻類を枯らしてから出ないと除草剤の効果が十分発揮されません。

Q:モゲトン剤と水田除草剤は一緒に散布しても良いか?
A:お勧めしません。除草剤の効果を充分発揮させる為にも、先にモゲトン剤で藻類を枯らしてから除草剤を使うようにして下さい。

Q:モゲトンジャンボ剤を使ったらうまく効果を発揮しなかった。感がえられる原因は?
A:藻類多発による拡散不十分が原因です。モゲトン剤の成分は一般的な水稲除草剤の成分と比較すると移動が少ないといった特徴が有ります。

Q:モゲトンジャンボ剤を効果的に使用する為の対策は?
A:水口から水を流入させながら使用して下さい。水の流入とともにモゲトン剤の成分が広がりますので、水口から水尻までモゲトンの成分が広がった頃を目安に水を止めます。
藻類多発条件下の場合は、モゲトン粒剤を処理した方がトラブルは少ないです。
メーカーチラシにも詳細が書かれていますので参考にして下さい。

Q:モゲトン粒剤・モゲトンジャンボ剤は薬害が出るか?
A:稲全体が水没した場合、葉が白くなる薬害が現れます。

Q:藻類専用(枯らす)の除草剤成分は他にあるか?
A:藻類専門の水稲除草剤成分はモゲトン剤の成分(ACN)のみです。

Q:モゲトン剤の成分が入った水稲除草剤はあるか?
A:初期除草剤として、アークエース粒剤(カネショウ)、クリアホープフロアブル(科研)があります。


初期除草剤の成分スペクトラム(あくまで参考)の過去記事でもACNについては紹介していますので、関心のある方はご参照下さい。

ジメタメトリンやピラクロニル等、抑草効果が期待できる除草剤成分はいくつか有りますが、枯らすとなるとモゲトン剤の成分に勝る物はありません。

スポンサーリンク
Amazon:モゲトン剤検索



藻類発生の原因・基礎知識について

Q:藻類発生の適温はどのくらい?
A:18℃~25℃くらいです。

Q:地下水の場合の温度はどのくらい?
A:16℃~18℃くらいです。

Q:藻類発生に最も影響する肥料条件は?
A:P(リン酸)が多く、次にN(窒素)が多い圃場ほど発生しやすいです。
(P2:N1)他土中の有機物によっても影響します。

Q:水中にN(窒素)だけ多い場合は、藻類は増加するか?
A:増加が促進されます。

Q:水中にP(リン酸)だけ多い場合は、藻類は増加するか?
A:増殖には関係しません。

Q:アオミドロ・表層はく離は、日中になると田面に浮上するか?
A:光合成により、表層はく離上に酸素(気泡)が発生するので、日射で膨張する為浮上します。

Q:雨が降ると藻類や表層はく離は水面に現れないのはなぜか?
A:降雨で水面がたたかれて、その振動で酸素(気泡)が空気中に抜ける為です。

Q:天候が良いと藻類はなぜ発生が盛んになるのか?
A:藻類が光合成を盛んに行うので、活発に成長する為です。

Q:藻類発生が多い時に影響を受けやすい(相性が悪い)水稲除草剤の剤型は?
A:ジャンボ剤やフロアブル剤は表層を拡散しながら徐々に成分が沈殿していく為、藻類が発生していると拡散不良の原因となり、効果が不安定になる原因となります。
部分的な薬害を生じる恐れもありますので、これらの水稲除草剤を使う際は、藻類の駆除を行ってから使うようにして下さい。
但し、ここで記載している内容は製剤相性の問題であって、粒剤なら問題なく除草効果を発揮するというわけではありません。
粒剤利用であっても藻類を駆除してから使うようにして下さい。

Q:藻類や表層はく離の発生による稲への影響は?
A:水温の低下(2~3℃)によって「生育の遅れ」や「分けつ」に影響する事があります。
稲の押し倒しや根の浮き上がり等により収穫量にも影響(減収)します。



まとめと補足

今回は、モゲトン剤についての特徴・基礎知識と、藻類発生の原因・基礎知識について紹介させて頂きました。

藻類は圃場によっても施肥肥料等によっても発生の具合が変わってきますが、発生しやすい圃場は、アークエース等の初期剤を使って対処するのがお勧めです。

ジメタメトリン剤も抑制効果としてはお勧めですが直接的にアオミドロをたたくとなるとモゲトン剤の方が強い印象が有ります。

使用しての感想となりますが、モゲトン粒の場合、快晴時の朝に散布すれば、その日の夕方には色の変化が確認できます。
残効は短い薬剤ですが効果は比較的即効的です。

モゲトンジャンボという投込みタイプの製剤も有ります。
こちらについてはお風呂の入浴剤のような発泡して広がるタイプの除草剤となりますが、アオミドロが多発生の状況下では発泡ガスが広がる限度がある為、十分に効果を発揮できない場合が有ります(使い方に特長有り)。

メーカーさんのHP上で使い方(使用方法の動画等)が掲載されていますので、お勧めです。

モゲトン粒剤の製品ページ
モゲトンジャンボの製品ページ



スポンサーリンク
Amazon:モゲトン剤検索

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*