ネギ黒斑病の情報と、防除方法について

このページでは、ねぎの黒斑病についての生態、発病原因等についてと、その防除対策、お勧めの農薬等について紹介していきます。

温度帯、地域によっても異なると思いますが、べと病やさび病等が問題となる時期が過ぎた頃から気付けばどんどん増えてくる病害です。

幸い、対応できる農薬はいくつかありますので、発生しやすい圃場は定期的にローテーション散布を行うようにしましょう。



ネギ黒斑病とはこんな病気

ネギの重要病害は複数存在しますが、この黒斑病という病気は、糸状菌(かび)により発症する病気で、Alternaria porri(アルタナリア・ポリ)というカビ菌が引き起こします。

この病気はネギだけではなく、たまねぎやニンニク等にも発生しますので、これらの作物を作られている場合は注意が必要です。

見た目が類似して判別しにくい病気に黄斑病や葉枯病がありますが、これについてはまた別の機会に紹介させて頂きます。

ネギ黒斑病について

ネギ黒斑病は、画像のような花梗(かこう)部分(1本の葉の中心部分)であったり、葉先の近くであったり、ネギの青みががった部分の広範囲に発生する病気で、画像のような楕円形の褐色で凹んだような斑点が特徴的です。

病斑は、初期の内は2~3mm程度の斑点ですが、次第に大きくなって最終的には5㎝程度まで拡大します。
病斑を放置すると病斑点の上に黒いすすカビが出はじめ、多発すると葉が折れる等の被害拡大を生じます。

上の画像の物は、病斑が4㎝以上あり、中心部に黒いすすかびも出てしまっている為、かなり病状がすすんでしまっています。
こうなる前に薬剤で予防防除をしておく事をお勧めしたいところです。

大抵の場合、放置してしまうと病斑は1本のネギに対して複数出ます。
最終的には病斑がつながって枯れてしまいます。

購入種子であれば問題有りませんが、この病害は種子伝染する病害なので、自分で種子を採取して翌年利用するという方の場合は、病気が出てしまった圃場から採取した種子を用いると発芽に異常が出る事がありますので予め注意しておきましょう。
種子消毒を行うようにし、畑での防除も徹底する事をお勧め致します。



ネギ黒斑病の発生適温・拡大方法・防除対策について

ネギ黒斑病の発生適温は25℃~27℃程度で、高温・多湿・連作等で発病が助長されます。

黒斑病のカビ菌は空気中を浮遊、あるいは降雨などの水に乗って拡大し、放置された菌は残渣とともに土中に残ります。

梅雨時期や秋の長雨等で一気に拡大し、樹勢の弱った株に被害が拡大する事が多い病気です。

べと病の発生条件と絡む為、べと病に二次拡大するケースが多々ありますので、防除する場合は黒斑病に効果のある薬剤に加えて、べと病薬剤との併用散布をお勧めします。

梅雨時はネギのさび病が出る時期でもありますので、この時期の薬剤選択としては、さび病+黒斑病+葉枯病+べと病に効果のある薬剤は必ずローテーションに組み込むようにして下さい。

黒斑病は高温条件下でも発生しますので、7月以降や秋口の場合は、軟腐病などの細菌性病害に効果のある薬剤も組み込む事をお勧めします。

肥料管理については、窒素過多はダメですが、肥切れしないよう施肥管理を行って下さい(弱った株に病気が入る為)。

腐植酸資材を投入する事で地力を高めるといった手法も有効です。
カビ菌はあっという間に広がりますので、被害株は抜き取って処分するようにしましょう。

ネギ黒斑病に効果のある農薬について

ネギ黒斑病に登録を持っている薬剤は、大抵の場合、葉枯病やさび病にも登録を持っている物が多いです。

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これらの病害は、発生時期が比較的被りますので上手に活用しましょう。

薬剤は必ずローテーション散布を行い、薬剤系統が被らないよう配慮して下さい。

近年流行りのSDHI剤はお勧めの薬剤です。
さび病・葉枯病・黒斑病をカバーします。


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アフェットフロアブル


パレード20フロアブル


これらの薬剤は、ネギの黒腐菌核病などにも登録が有ります。
パレードについては作物体内への移行性、葉表から葉裏に抜ける浸達性などの特性も有りますので、使い分けもおすすめです。

ダコニールとアフェットの成分を混合したベジセイバー(フロアブル剤)という農薬もあります。

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こちらは予防主体の薬剤ですが、べと病・さび病・白絹病・葉枯病・黒斑病・小菌核腐敗病といった幅広い登録を持っていますので、こういった農薬をローテーションに組んでやると、単剤で使用するより薬剤耐性を抑える作用も有り、非常に予防効果が高くなります。

この他に、さび病・葉枯病・黒斑病・べと病をカバーする薬剤としては、ストロビルリン系の殺菌剤も有効です。

アミスター20FL
メジャーフロアブル
ストロビーフロアブル
シグナムWDG
(ストロビルリン系薬剤にボスカリドというカンタスDFの成分が混合されています)

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ストロビルリン系薬剤を使う際の注意点としては、展着剤に注意しましょう。

ネギの場合、農薬の浸透性や吸収を高めるような展着剤を可溶すると、葉先のねじれやザク又の開きといった薬害症状がおこる事が有ります。
特にアミスターやメジャーなどはその症状が出やすいので注意が必要です。

これらの農薬を利用する時は、高温時の散布を避け、薬液ができるだけ早く乾くように配慮しましょう。
いつまでのジメジメと濡れているような状況下だと薬害を助長します。

べと病の登録は有りませんが、ストロビルリン系の薬剤で、葉枯病・さび病・黒斑病に登録を持っている農薬の中に、ファンタジスタ顆粒水和剤という薬もあります。

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ファンタジスタ顆粒水和剤は、アミスターやメジャーより薬害リスクの低い薬ですが、病害の初期治療作用は十分もっており、浸達性や移行性がありますので、病気が出る前の予防剤というポジションでローテーションに加えてやると、より防除効果が高くなります。

アフェットやパレードと同じ薬剤系統(SDHI系統)の殺菌剤としては、住友化学のカナメフロアブルも有ります。
こちらは同一系統でも、さび病や白絹病に対して高い効果が有ります。
カナメフロアブルについては別記事でも紹介しています。


その他に昔からある薬としては、さび病・べと病・黒斑病・葉枯病に登録を持っているテーク水和剤、黒斑病・白絹病・小菌核腐敗病・ボトリチス葉枯症に登録を持っているロブラール水和剤、黒斑病・さび病に登録を持っているオンリーワンフロアブル、黒斑病とネギアザミウマの登録を持っている抗生物質剤のポリオキシンAL水和剤、黒斑病・さび病・葉枯病に登録を持っているベルクート水和剤等があります。

昔からある農薬は、最新の農薬より薬価が安い傾向にあります。
ローテーションに組み込んでやると防除コストを下げる事もできますので、病気が出てからの利用ではなく、発病前の予防的防除で使用してやると良いでしょう。

病害の種類によっては薬剤耐性が付いてしまっている薬剤も有りますので、気になる方は各都道府県にある病害虫防除所であったり農業普及センターにお問い合わせしてみて下さい。


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まとめ

ネギ黒斑病は、ネギの病害の中では比較的多く発生する病害です。
葉枯病の対策を含めて薬剤防除する事で、発生を抑える事が可能です。

黒斑病は、ネギのべと病を併発する事が有りますので、べと病薬剤も上手に活用して防除を行って下さい。

べと病の専門薬剤としては、ベトファイター顆粒水和剤ザンプロDMフロアブル等があります。

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