野菜苗(幼苗)を徹底管理!!は種・覆土後から使えるミネクトデュオ粒剤

育苗期間中の害虫防除として定着してきたミネクトデュオ粒剤
この殺虫剤は、既存薬剤であるアクタラ(ネオニコチノイド系)の成分と、ベネビアODやベリマークSC、プリロッソ粒剤と同じ シアントラニリプロール というジアミド系の成分が混合された薬剤で、ダニは除きますが、アブラムシやアザミウマ、ハモグリバエといった微小害虫から大型チョウ目害虫まで、幅広く防除できる殺虫剤です。

ミネクトデュオの商品規格は1Kgと3㎏があります 。
トレイ枚数が少ないなら1Kg、それなりに枚数がある方は3㎏を選んだ方が使い勝手が良いでしょう。

果菜類は鉢上げのタイミングから処理する事ができ、葉菜類は作物種類にもよりますが種まきをして覆土(土をかぶせた)後のタイミングから使う事ができます。

薬剤の効果期間(残効)が長いといった特徴があり、定植前のどのタイミングで処理したとしても定植してから3週間程度の薬効が続くという薬剤です。

今回はキャベツ等の葉菜類を例に薬剤について紹介していこうと思います。


最新の薬剤登録についてはメーカーさんの商品ページをご確認下さい。


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ミネクトデュオ粒剤の処理方法(キャベツの例)

ミネクトデュオ粒剤は、キャベツの場合、以下3つの処理方法があります。

①:は種覆土後~育苗期後半のタイミングでセルトレイ1枚に対して40g処理する方法。


②:は種時のタイミングでセルトレイ1枚に対して20g~30g処理する方法。

③:定植時の株元散布(1g)処理する方法。

④:地床苗用としては種前に全面土壌混和(1平方メートル12g処理)する方法。

今回は、一番ベーシックな使い方である①の散布方法で見ていきます。

ミネクトデュオのセルトレイ処理量はこんな感じです↓

1Kg袋を用いて処理できるセルトレイ枚数は、1Kg(1000g)÷40g=25枚。
3㎏袋を用いて処理できるセルトレイ枚数は、3㎏(3000g)÷40g=75枚。


ミネクトデュオ粒剤を処理する為の散布資材について

ミネクトデュオ粒剤は、3㎏規格6袋入りのケースの中に散布用の軽量スプーンが入っています。

バラ購入する場合、販売店さんによっては付けてくれないかもしれませんが、通常、3㎏袋タイプをJAや小売店等で購入する場合、軽量スプーンがサービスでついてくると思います。

ただ、実際に使えるか?というと、果菜類の鉢上げの処理でなら計量スプーンも活用できると思いますが、葉菜類に処理する場合は計量スプーンで処理するのはかなりの手間です。

もっとざっくり散布したいという方は、購入先に散布用の紙パックを依頼してみて下さい。
基本的にこちらの紙パックは別途メーカーさんに依頼しないと入手できないので、販売店さんに置いていないケースが多いと思います。
扱い量の多い店舗だと置いてある事もありますが、欲しいという方は購入先へ前もって頼んでおくと良いでしょう。



あるいは、みのる社製の粒剤散布器などを用いるのも有効です。
メモリを設定すると1トレイに対して均一に薬剤を散布できます。

作付面積が多いとトレイ枚数も多くなりますので、手動で作業するならかなりお勧めです。
日陰管理しておけば劣化も遅いのでかなり長く使えますし、1個持っていると色んな粒剤で併用する事ができます。



ミネクトデュオ粒剤を実際に散布してみた。

さて、実際にミネクトデュオ粒剤をキャベツの「は種覆土後のタイミング」で処理してみました。

散布が下手すぎてすみません。
メモリの調整をしっぱいしてかなり偏りが出てしまいました。
見た目40g以上入ってしまったかな…という感じです。

処理後に潅水したら、少し固まってしまって、余計偏りが目立ってしまいました。
これでちゃんと芽が出るんだろうか…という感じですね。

実際、トレイにのった粒剤はこんな感じの形状をしています。

製剤の特徴として、甘いバニラ臭がします。
農薬は臭いというイメージを持たれる方が多いと思いますし、実際そういった薬剤は多いですが、ミネクトデュオ粒剤についてはそういった臭いのストレスは感じません。

さて、これでキャベツがしっかり芽出ししてくれるか…という事なんですが、結論として、全く心配ありませんでした。


発芽抑制がかかってしまうんじゃないかと心配しておりましたが、しっかりした発芽で、発芽率に影響もなさそうです。

2成分混合剤の内、片方がアクタラ剤という事で、ネオニコチノイド系の成分を含んでいる為、薬害が起きないか心配な所はありましたが、おかしな萎縮症状や褐変などもなく、この後の成長具合も見ても成長点や新葉への影響は見られませんでした。



コナガ多発条件下では注意が必要かも。

さてさて、2成分剤の内、もう1つの成分がジアミド系の薬剤という事で、コナガの部分が心配な所ですが、同じ成分を用いているベネビアOD、ベリマークSCについては、現時点ではコナガに対してはある程度有効な薬剤とされています。

しかしながら、今回の薬剤試験では、それなりにコナガの発生が見られる条件下の試験であった事もあり、処理後2週間程度の苗でも食害が見られました。



コナガ特有の薄皮1枚残したような食害痕です。

投下薬剤のムラがあったにしても、自分の中の実感としては処理量が多かったかな?という印象があっただけに、この食害痕はちょっとがっかり。

複数のトレイに同じような食害が見られた為、散布した時期のコナガの発生量としてはかなり多かったのかもしれません。

これ以上食害が広がらないかを見る事で薬剤効果を追いかけるというのも1つの見方でしたが、思った以上に食害面積が広かったので、この時点で他薬剤の散布に切り替えました。

処理の仕方、潅水の仕方によってもブレがあるのかもしれませんが、コナガの発生が見られる時には注意が必要かもしれません。

あくまで私個人の感想ですが、これだけを見てしまうと、コナガについてはどんなタイミングで散布しても定植してから3週間まで残効が残る!というのはちょっと難しいかな…と思わずにはいられません。

薬剤には一番よく効いている時期から効果が落ちてくる半減期というものが存在します。
薬効自体は続くのかもしれませんが、一番効果の高い状況のまま薬効がずっと続くような薬は存在しませんので、やはり苗時期の管理薬剤として見ておくのがベターでしょう。



基本的にはミネクトデュオを処理した効果は十分あります。

上の説明だけだと、何だ全然使えない薬なじゃないか…と思われる方が多くなってしまうと思いますので、同時期に処理した物であったり、キャベツ以外の葉菜類で処理した際の様子もアップしておきます。

同じくコナガが発生している地域で処理している物ですが、処理の仕方が微妙に違うのか、あるいは処理後の潅水量ややり方が違うのか、ものの見事にキレイ!という物ばかりです。







いやぁ… 何なんだろうこの差は…
しかもハウス内ではなく露地に置いている物も綺麗…

やはり普段営農に携わっているプロの方には敵いませんな……


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ミネクトデュオ粒剤を処理するにあたっての注意点。

ミネクトデュオを処理するお勧めのタイミングは、苗時期を徹底管理するという意味で見ると、は種覆土後(種まきをして覆土をしてから)の処理が一番お勧めだと私は思います。

しかしながら、葉菜類の場合、非結球レタスにおいては、育苗期後半という登録内容になっています。

そもそもが登録外の使用方法になりますが、レタスの場合、覆土を行わずに処理して激しい生育抑制がかかったという事例があります。
過剰に潅水した場合も、薬害を助長するという事例もあります。

ですので、メーカー側で安全策をとっているのかもしれませんが、非結球レタスについては「は種覆土後」のタイミングではなく、芽が出てから「育苗期後半」という登録内容になっています。

「リーフレタスは除く」という事になっていますが、心配な方は、は種覆土後からのタイミングではなく、芽が出てからの使用をお勧めします。

発芽後の作物に処理する場合は、粒剤が成長点、新芽部分に残らないように、処理をしたら軽くはらって粒を落とすようにしてください。

ミネクトデュオ粒剤は非常に水に溶けやすい農薬ですが、念には念をという事で、個人的にはこのやり方をお勧めします。
そして、処理する際と処理後の温度が高温時に当たらないよう配慮して下さい。

一応農薬ですので、高温時の使用というのは農薬全般的に良くないとされています。
薬害に限らず生理障害等を助長する可能性も有りますので、できるだけ涼しい時間帯で、涼しい時間帯に溶けた薬液が乾くように配慮して頂けると良いと思います。


ミネクトデュオ粒剤は適用拡大で使い勝手が良くなっています。

2019年9月までの適用拡大で、ブロッコリーの「は種時」登録、きゅうりの鉢上げ時の際の「育苗土壌混和」登録、ネギの生育期中の「株元散布」登録、レタスの「育苗土壌混和」登録を取得しています。

特にネギの生産者においては、ミネクトデュオ粒剤はかなり使い勝手が良くなったと思います。

コスト的には高い薬剤かもしれませんが、生育期中のネキリムシ対策剤やハモグリバエ対策剤としては重宝するでしょう。


ハチに対する影響日数が変わりました。

果菜類を生産されている方で、ハチを導入されている方はご注意下さい。
2019年9月時点で、ハチに対する影響日数が変更となりました。

マルハナバチ:定植14日~21日後
ミツバチ:定植20~30日後


ミネクトデュオ粒剤処理後のハチの導入安全日数は、処理時期にかかわらず定植後からのカウントになります。

鉢上げ時のタイミングで処理したとしても、マルハナバチであれば定植後14日~21日を経過してからハチを導入して下さい。

同じく、定植7日前に処理をしたとしても、マルハナバチであれば、定植後14日~21日を経過してからハチを導入して下さい。

農薬の登録内容や注意点は不定期に更新される場合が有ります。
上記の日数は参考目安となりますので、使い慣れていない方は十分注意して、余裕をもってお使い頂ければと思います。



まとめ

ミネクトデュオ粒剤は、育苗期中の害虫からの加害を防除する薬剤として有効な薬です。

処理量であったり潅水の仕方で多少ブレも出るかもしれませんが、基本的にはしっかりとした効果が期待でき、効果期間も長い事から、育苗期に使う殺虫剤の回数を減らす事ができます。

登録の幅も広がっており、ますます使い勝手の良い薬剤になってきました。

今回、果菜類の使用実例は載せておりませんが、ナスなどに使用した場合、定植後でもアブラムシやアザミウマの発生が見られませんでした。

もしかしたらチョウ目よりはアブラムシやアザミウマの方がよりはっきりした効果がでるのかもしれませんが、これはまた別の機会にご紹介したいと思います。


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