シュンギクの重要病害「シュンギク炭疽病」を出さない為の防除対策。登録農薬の紹介など。

このページでは、シュンギクについての栽培情報と、シュンギク栽培で特に問題となる炭疽病にフォーカスを当てて、シュンギクの炭疽病の生態や病害の特徴、登録農薬などについて紹介していきます。



シュンギクってどんな野菜??栽培知識などについて。

シュンギクはおひたしや鍋物野菜としてのイメージが強い野菜ですよね?

私の中だと千葉県の野菜!という認識が強い野菜ですが、近隣の茨城県であったり、岡山県であったり静岡県であったり、あちこちに主要産地があります。

シュンギクは、名前に「キク」と付くだけあって、「キク科」の野菜で、 株の大きさは30㎝程度になる野菜です。

作付け土壌PHは6.0~6.5、栽培適温は15℃~20℃程度です。

栽培方法は、露地と施設。
直播と移植方法の2通りが有ります。

家庭菜園を含め、一般的な播種時期は、おおむね3月下旬頃~5月の上旬頃と、9月下旬~10月上旬頃です。
連日収穫ができるように、一回で種まきを終わらせるのではなく、段階的に種まきを行います。

関東の場合、3月下旬頃~5月の上旬頃にまいた物の収穫時期は、おおむね5月~6月にかけて。
9月下旬~10月上旬にまいた物の収穫時期は、おおむね10月~12月にかけてです。

シュンギクは乾燥と霜に対して非常に弱い作物なので、乾燥時期には水やりに注意し、霜が降る寒い時期(11月下旬頃から)は、施設・露地ともに防寒対策が重要となります。
霜に当たってしまうと、凍害で葉が黒く枯れてしまいます。

11月以降に収穫がずれ込んでしまう場合は、べた掛けとトンネルを用いて防寒対策を行います。
年越しまで取る収穫スタイルの場合は、施設栽培の方が向いています。

摘み取り収穫と株ごと収穫する2通りの収穫方法がありますが、メジャーなのは摘み取り収穫です。

千葉県の作型だと、おおむね11月~3月中旬頃までは市場に出回る野菜ですが、作付けが難しい夏場は、特に相場が高い傾向にある為、近隣県含め、あえて作付けが難しい時期に栽培されている生産者の方も多々いらっしゃいます。

シュンギク栽培で問題となる害虫は、アブラムシやハモグリバエ等。
病気については、べと病、さび病、黒斑病、葉枯病、炭疽病、アブラムシがウイルス媒介するモザイク病等がありますが、生産現場で特に問題視されるのは炭疽病です。


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シュンギクの炭疽病とはどんな病害なのか?生態は?

シュンギクの炭疽病は、 糸状菌(カビ菌)によって発生する病気で、グレオスポリウム クリサンテミという糸状菌と、グレオスポリウム カルサミという糸状菌によって発生します。

炭疽病菌は、残渣等とともに土壌で越冬し、目視できるような病気の発生時期は、春~秋にかけて(20℃~28℃程度で湿度が高い時に)よく見られます。

28℃前後の高温期で湿度が高いと胞子が沢山作られる為、感染が拡大します。
高温多湿条件で発生が助長される病害です。
雨や散水、泥の跳ね返り、空気伝染等によって広がります。

シュンギクの炭疽病は、葉の部分に出る病斑が特徴的なので、畑を見るとすぐに見つける事が出来ます。



葉に出る病斑は、最初の内は淡い褐色の水染みのような斑点が出はじめます。
その後、画像のようにやや凹みのある数ミリ程度の病斑となります。

先にも書きましたが、シュンギクの炭疽病が厄介な所は、空気伝染して蔓延するところです。

新芽にも被害が出る病害で、 罹病すると新芽の芯が黒く枯死したり、生育できずに株自体が枯れてしまう事もよくあります。

予防対策が疎かになるとあっという間に広がりますので、耕種的防除と農薬防除の2通りで対策を打たなければなりません。



シュンギク栽培の耕種的防除対策について

シュンギク炭疽病は、高温多湿条件で発生が助長される為、密植をさけ、繁茂しないように間引きを行いましょう。

種をまく際も、後々密植状態にならないように、厚まきはせず薄くまくのがポイントです。

他の病気対策を含め、施設栽培の場合は、風通しを良くするよう心がけ、露地ハウス問わず、水はけも良くするように管理して下さい。

泥跳ねによる病害の侵入を防ぐため、マルチングや雨よけ対策を行うようにしましょう。


シュンギクの登録薬剤と、炭疽病に対する農薬防除、登録薬剤などについて。

シュンギクの登録薬剤は非常に少なく、炭疽病で登録を持っている薬剤は、2019年現在、下記の薬剤のみです。

アミスター20FL (FRACコード11)
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ストロビーフロアブル (FRACコード11)
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スクレアフロアブル (FRACコード11)
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薬剤系統は全て同じストロビルリン系の薬剤になります。

炭疽病に限定せず、シュンギクで登録のある薬剤を見ても、上記3品目とダゾメット剤(バスアミド微粒剤・JA専用のガスタード微粒剤)しかありません。

これまでは、アミスターとストロビーばかりの防除体系でしたが、近年スクレアフロアブルが追加され、選択肢が増えました。
スクレアフロアブルは浸達性と浸透性があり、葉の導管に沿って葉先への成分移行があります。
他のストロビルリン系薬剤と比較すると、あくまで個人的なイメージではありますが、薬害リスクは比較的低い、マイルドな薬剤といった印象があります。

普段同じ薬剤ばかり使っていて、効果ブレを感じるようであれば、薬剤抵抗性回避の為にも今まで使っていた薬剤を一旦休ませて、こういった違う薬剤を使うのもお勧めです。


ストロビルリン系の薬剤を使う際は、幼苗期などの軟弱時期と、高温時の散布を避けるようにしましょう。

夏場などは特に注意が必用です。
お日様が出る前に散布しても、日中が高温だと薬害リスクが助長されます。
そのような時は、逆に夕方遅めに散布して夜の内に乾かすようなタイミングが無難です。

ストロビルリン系の薬剤を使う際は、薬液がいつまでも乾かない状況にあると薬害を助長してしまう為、できるだけ早く乾かすような配慮が必要です。

浸透を高めるような機能性展着剤は使わずに、「よく広げるタイプの展着剤(まくぴかブレイクスルードライバー)」等の展着剤を可溶してやると、薬液が早く乾くのを促します。

上記のストロビルリン系以外の薬剤となると、炭疽病の専門剤ではありませんが、「野菜類登録」の殺菌剤(主に銅成分剤)を用いるしかありません。

病気が発病する前の段階で、銅成分を付着、コーティングさせておく事で抗菌作用を持たせます。

ただ、銅剤も薬液が乾きにくい状況や、高温時期には褐変症状等の薬害が出ますので、ストロビルリン系の薬剤と同じように、高温時の散布は避けて、薬液も早く乾かすよう配慮して下さい。

シュンギクは、べと病や細菌病に対しての登録薬剤もありませんので、それらに対しても野菜類登録薬剤を用いて予防的に対応するしかありません。

銅製剤を用いて堅く育てながら、カルシウム系の葉面散布剤等を多用し、細胞壁を強くするようにしましょう。

少し脱線しますが、うどんこ病などが出やすい時には、ケイ酸成分を含有した液肥などを用いるのも効果的です。


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≪野菜類登録薬剤の一例 銅成分を含有する薬剤≫
ジーファイン水和剤(主成分は炭酸水素ナトリウム+無機銅)
コサイド3000(無機銅)
Zボルドー水和剤(無機銅)
クプロシールドフロアブル(無機銅)
ケミヘル水和剤(無機銅+バチルス ズブリチリス)

≪その他の病害を対象にした野菜類登録薬剤≫
イオウフロアブル(うどんこ病のみ)
インプレッションクリア水和剤(うどんこ病・灰色かび病)
カリグリーン水和剤(うどんこ病・灰色かび病・さび病)
クムラス水和剤(うどんこ病・ハダニ類)
ハーモメイト水和剤(うどんこ病・灰色かび病・さび病)
バイオキーパー水和剤(軟腐病)
マスターピース水和剤(軟腐病)
硫黄粉剤50%(うどんこ病・ハダニ類)
↑シュンギクの病害とは直接関係の無い薬剤もありますが、副次的な薬効を狙って混用する方もいらっしゃいます。

農薬ではありませんが、登録薬剤の少ない作物を栽培する場合、殺菌剤を使いたくても使えないという場合が有ります。
そんな時に有効な商材としては、「M.O.X」などの酸素供給材も有効です。
基本は土中に酸素を供給する事で作物を健全な状態に保つ商材ですが、大量の酸素による異物除去効果を狙った使い方もできます(グレーゾーンな使い方ですね)。

M.O.Xについては、また別のページで紹介します。



まとめ

シュンギク栽培において、炭疽病は最も警戒しなければならない病害の1つです。
特に高値相場が期待できる高温時期に問題となります。

水による伝染だけでなく空気伝染もする為、発病させないように初期の段階から徹底して予防に徹しておく必要があります。

しかしながら、シュンギクに登録のある有効な殺菌剤は非常に少なく、炭疽病に登録のある薬剤は、ストロビルリン系薬剤に頼るしかありません。

とはいえ、ストロビルリン系薬剤も抵抗性の問題や使用注意点などもありますので、野菜類登録の銅成分系の殺菌剤を上手に活用し、予防的な防除に徹するよう心がけて下さい。


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