だいず栽培の難防除雑草「マルバルコウ」対策剤を含む、除草剤特集レビュー。

大豆栽培で問題となる雑草にはいくつかありますが、ヒルガオ科の帰化アサガオ類は色々な所で問題となっているのではないかと思います。

一番代表的な雑草は「マルバルコウ」です。

マルバルコウは北アメリカを原産とする外来種で、ツルで伸びていく為、成長していく過程の大豆に絡まり、収穫時にも手を焼く厄介な雑草です。

マルバルコウ・帰化アサガオ対策

赤くて小さい若いらしい花を咲かせますが、一度発生すると翌年以降も問題となる傾向があります。



マルバルコウの発生を防ぐための手段

この雑草は農薬防除が基本となる雑草ですが、ダラダラと生えてくる雑草で、ツルが伸びだすと防除が難しくなってくる為、1回の防除では大所が難しいという問題が有ります。

基本的な農薬体系としては、だいたい以下のような体系をとります。

土壌処理除草剤(抑草剤) → 茎葉処理での抑制または枯殺処理除草剤 → 茎葉処理での枯殺処理除草剤

農薬の種類は色々ありますので、全ての薬剤を使う事は困難です。
コストに合わせた使い分けを検討しましょう。


代表的なだいずの除草剤について

大豆栽培における除草剤のメジャーどころをいくつかをピックアップしていきます。

エコトップP剤

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主成分として、ジメテナミドPとリニュロンの混合剤です。
ジメテナミドPは、キャベツの除草剤で代表的なフィールドスターP乳剤に含まれる成分で、長期間効果が続く土壌処理除草剤成分です。
主にイネ科雑草、カヤツリグサ、スベリヒユ、ヒユ類に対して効果があります。
リニュロンは、ロロックスに含まれる成分で、主に広葉雑草に効果のある除草剤成分です。
だいずの種まき後から芽が出る前までのタイミングで使用できます。
土壌処理除草剤というタイプの除草剤ですので、雑草が生えてくる前に処理する必要があります。
乳剤と細粒剤があります。

クリアターン乳剤

ベンチオカーブとペンディメタリンとリニュロンの3成分を混合した除草剤です。
JAで販売されている商品なので、一般小売店では基本的に置いていないと思います。
関心のある方は直接JAへお問い合わせください。

ベンチオカーブは水稲除草剤にも使われている成分で、ノビエやメヒシバ等のイネ科雑草や、スベリヒユなどの防除に有効な成分です。
ペンディメタリンは、畑地雑草の除草剤(土壌処理除草剤)であるゴーゴーサン剤。イネ科と広葉の両方を抑草する土壌処理成分です。
種まき後から使用できる除草剤で、こちらもエコトップP剤と同じように、土壌処理除草剤となります。
乳剤と細粒剤があります。

コダールS水和剤

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プロメトリンとS-メトラクロールという2つの成分を混合した製品で、一年生のイネ科雑草や広葉雑草を長期間抑制します。
種まき後から芽が出る前までのタイミングで使用します。
こちらも雑草が発生する前に処理するタイプの除草剤です。
マルバルコウ等に対しても一定の抑草効果が有り、有効成分の土壌吸着力も高い薬剤です。
注意点としては、次作物(水稲)に影響が出ますので、大豆の後に水稲等を作付けするような圃場には向きません。
ブロックローテーションで栽培する作物を定期的に変えているような地域の場合は注意が必要です。

トレファノサイド剤

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トリフルラリンという成分を含有した土壌処理除草剤です。
乳剤と粒剤があり、種まき前後だけでなく、大豆の生育期中にも使えます。
イネ科雑草に特化したした除草剤なので、広葉雑草には弱い傾向があります。

プロールプラス乳剤

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ジメテナミドP、ペンディメタリン、リニュロンという3成分を混合した除草剤で、種まきして芽が出る前まで、雑草が発生する前までの使用になります。

マルバルコウ対策には、エコトップP剤、クリアターン、プロールプラス乳剤などの土壌処理型の除草剤を初発に使うのが効果的です。
地域によってはフルミオWDG等も有効です。


これらの土壌処理型の除草剤は、除草成分の処理層を地表部分に形成する事で、地中から発芽してくる雑草を叩く(土中からの雑草の発生を抑制する)スタイルです。

その為、土壌が過度に乾燥しすぎているとうまく除草剤の層が作れずに十分な効果を発揮できません。
逆に過度に水分が多い状況や、除草剤散布後に大雨などを受けてしまうと、除草剤の処理層が土中に沈んでしまったり偏りが出るなどして、本来しっかり成育させたい作物にダメージを与えてしまう場合も有ります。

土壌処理型の除草剤を使う場合は、適度な水分状態(手で土を握った時に団子ができるくらいの水分量が目安)で、散布後の天気予報が雨でない時を見計らって処理しましょう。



だいず畑の雑草を徹底的に防除するための追撃タイプの除草剤

だいず畑にはマルバルコウ以外にも様々な雑草が存在します。
先に挙げた除草剤もマルバルコウ以外の雑草を防除するのに有効ですが、基本的には土壌処理型(一番最初に使う抑草型)の除草剤となりますので、圃場の条件にも左右されますが、おおむね1カ月もすれば薬の効果も切れて、次の雑草が発生します。

土壌処理除草剤を最初に入れてから、その薬の効力が切れる前に次の手を打たなくてはなります。

このタイミングでお勧めできる除草剤としてはこんな除草剤があります。

つなぎの薬 パワーガイザー

イマザモックスという成分の除草剤です。
この除草剤の特徴は、雑草が生えてきてから散布するタイプの除草剤です。
雑草の発生初期から雑草が生えそろってきた時までに散布する事で、効果を発揮します。
枯らす作用と雑草の生育抑制効果があります。

タニソバやスカシタゴボウなどの一年生広葉雑草対策の場合、発生始期から2葉期までの処理がお勧めです。
但し、この除草剤はイネ科の作物やそば、ばれいしょなどにかかってしまうと悪影響が出ますので注意が必要です。

だいずを作付けしている畑の近くでは、米やソバを作るケースが多いと思いますので、除草剤を散布する際は、飛散しないように注意しましょう。



マルバルコウに効果のある枯殺除草剤

マルバルコウに有効な枯殺除草剤としては、アタックショット乳剤があります。

フルチアセットメチルという成分を含有した除草剤で、2018年度に発売された除草剤です。
だいずの一年生広葉雑草に対して登録が有り、植わっているだいずの上から散布できる茎葉処理タイプの除草剤です。

使用時期としては、本葉2葉期~開花前(雑草生育期)但し、収穫45日前まで。
10アール当たりの薬量は水量100Lに対して30~50mlという登録内容です。


発売当初の2018年時は、栃木県や茨城県等、地域限定で販売していた商品となっていました。
理由としては、一過性ではあるものの、だいずの品種を問わず100%薬害症状が出る薬剤だからです。
その為、販売可能地域においても薬害が出る薬である事の説明を受けたうえで、使用承諾書を交わすルールとなっています。

薬害としては、こんな感じの薬害症状が起こります↓

先に「一過性」と書きましたが、上記のような状態から枯れ込みが進むという事は基本的に有りません。
アタックショット乳剤がかかった部分で一部葉焼けのような症状が起こるという薬害です。

薬害症状の出方はまちまちで、薬害症状が出ない事も有れば、画像のように部分的に出る事もあります。
また、サーファクタント等の除草剤専用の展着剤と併用した場合、薬害を助長する傾向があります(葉焼け面積が広がる等)。

基本的に新しい葉には害は出ないので、薬害症状は一過性、一時的となります。

既存剤のバサグラン液剤の殺草スペクトラムと異なる面もある為、除草剤同士で混用したいという方もいらっしゃるかもしれませんが、薬害を助長しますので、農薬同士の混用は避けましょう。
基本、単剤で使用しなければならない除草剤です。

このタイミングで使える除草剤はバサグラン剤が有名ですが、バサグランと比べるとマルバルコウに対しての効果はかなりの差が出ます。

但し、ホシアサガオに対しては、マルバルコウほどの効果は出ませんので、ホシアサガオで困っている畑である場合は、パワーガイザー等もうまく絡めながらできるだけ早めにアタックショット乳剤を用いて防除しておきましょう。
マルバルコウを含め、ホシアサガオもツルが出てしまうと防除が困難となります。



だいず除草剤についてのまとめ

だいずの問題雑草は様々な草種が有りますが、除草が困難で収穫時に問題となる雑草は、帰化アサガオ関係がとても厄介です。

基本的に、一番最初に使う除草剤は、土壌処理型の除草剤を使用します。
この手の除草期間は、薬剤や環境によっても異なりますが、おおむね1カ月程度の物が多いです。
土壌の水分状況や、散布予定日後の天気予報に注意して処理しましょう。

除草剤の効果が弱まってくると雑草の勢いに負けてしまいますので、雑草で困っている畑であれば、間髪入れずに次の除草剤を散布するようにして下さい。


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