農業用ドローン初心者の為の導入マニュアル

いまや産業用ドローンは様々な場面で導入が進められており、多くの期待が高まっています。

具体的には、労働者不足の解消の為の手段、地理的な制約が少ないというメリットを生かした労働効率の向上、生産性の向上、監視、物件の移動、投下などです。

農業用ドローンについても様々なアプローチがありますが、今回は農薬散布を目的とした農業用ドローンにスポットを当てて、初心者向け導入マニュアルという事で、ドローンを購入してから実際の運航までの流れと法規制について説明していこうと思います。

ドローン購入を検討している方も購入を失敗しないようにぜひチェックしてみて下さい。


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ドローンを飛ばすまでの一連の流れについて

以下は、ドローンを飛ばすまでの大まかな流れになります。

①教習施設において、ドローンオペレーターの講習を受ける
②オペレーターの認定を取得する
③ドローンを飛行させるための許可申請をする
④許可申請を取得する
⑤FISS(飛行情報共有機能)へ登録する

①~⑤の項目をクリアすれば、ドローン飛行する事ができます。

飛行後は、⑥飛行実績の報告が必要となります。


では、これ以降は各項目ごとについてチェックしていこうと思います。

何も知らないとドローンを購入してから失敗した!なんて感じる事もあるかもしれませんので、一通り確認して頂ければ幸いです。



農薬散布用のドローン飛行に免許は必要なのか??

農薬散布用のドローンは、免許の取得の必要は有りませんが、農林水産省管轄の「一般社団法人 農林水産航空協会」から認定を受ける事が必要となります。

農業用ドローンは、他の産業用ドローンとは異なり、農薬の投下(物件の投下)を目的とする為、国土交通省や農林水産省で要領や指針を定めており、飛行する為の申請許可手続きや飛行後の実績報告が必要とされています。


■農林水産省が定める空中散布等における無人航空機利用技術指導指針

オペレーター(ドローン操縦士)については、空中散布に用いられる機種の操縦技術に習熟しており、かつ、無人航空機を用いた農薬などの散布に関する技術及び無人航空機の安全な飛行に関する知識を習得している者として、登録認定機関などの認定を受けた者である事


このオペレーターとしての「認定」を取得するためには、農林水産航空協会が指定した教習施設にて、教習を受けなければなりません。

■受講する為の要件

①満16歳以上である事
②視力、聴力が正常である事
③運転免許証等の身分証明が提出できる事
④心身ともにオペレーターとしての適性がある事

ドローンオペレーターの教習内容について

ドローンオペレーターの教習は、大きく2つの項目が有ります。

①学科教習
②操作実技講習

①の学科教習では、航空法、農薬取締法、電波法等の法規制についての講習、農薬散布を目的とした飛行の基礎知識、オペレーターとしての心構え等について講習を受けます。

②の操作実技講習については、ドローンおよび散布装置の操作や取扱いについて講習を受けます。
実際の機体を使用した離着陸や前後左右、左右回転等の操縦講習等も行います。


オペレーター教習にかかる費用と時間について

受講費用は機種にもよりますが、ざっくり15万~30万ほどの予算がかかります。

教習を受ける期間は、おおむね3日~5日程度です。


オペレーター技能認定についての注意点

ドローンは機体ごとに操縦方法が異なりますので、技能認定は機種ごとに行われます。

自動車のように、免許が有ればどの自動車でも乗れるという物ではありません。

また、技能認定証の有効期間は交付を受けた日から5年間とされており、5年ごとに更新研修を受ける必要が有ります。


ですので、ドローン購入を考えている方は、自分が使いたい、購入したいと考える機体をよく吟味する事が必要です。

安易に講習だけ受けておけば良いんでしょ?というものではありません。
後々どのような法改正があるかわかりませんが、少なくとも今は機種ごとに認定を受ける決まりになっている為、ひと昔前の劣化版の購入はあまりメリットが無いでしょう。

個人的な感想ですが、大手からベンチャーまでドローンには様々な機種がありますが、操作性やバッテリーの長さ、あるいは転売などを考慮すると、コストはかかっても現行品または現行品に近いレベルの機種を選択しておくのが無難かなと思います。



飛行許可の申請から許可取得までの流れについて

ドローンを飛行させるためには、3つの法規制が関係しています。


①航空法による法規制(無人航空機・飛行場所と方法)
②農薬取締法による法規制
③電波法による法規制


この中で、ドローン飛行による農薬散布を行いたいという場合には、主に①の航空法による法規制が最も重要な項目となります。



航空法による法規制(無人航空機・飛行場所と方法)

以下の4点の要件を満たす物は、航空法の規制を受けます。

①飛ばすことが可能な機体である事
②人が乗れない事
③遠隔操作または自動操縦が可能である事
④機体が200g以上である事


以下の項目以外での飛行は、国土交通省への申請・許可は不要となります。
逆に、以下に当てはまる場面での飛行は国土交通省への申請・許可が必用となります。

①空港などの周辺(進入表面等)の上空の空域
 ※安全性を確保し、許可を受けた場合は飛行可

②150m以上の高さの空域
 ※安全性を確保し、許可を受けた場合は飛行可

③人口集中地区の上空
 ※安全性を確保し、許可を受けた場合は飛行可

①~③以外の空域は飛行させることは可能ですが、飛行方法の規制があります。



飛行方法の規制について

無人航空機(ドローン)の飛行については、以下の規制が有ります。

下記の条件に1つでも当てはまる場合には、国土交通省の申請・許可が必要となります。

日中(日出から日没までの間)に飛ばす事
直接目視でドローンの期待やその周辺を常に監視する事
③ドローンと人や物件との距離を30m以上保つ事
④イベント等の催し事会場等、人の多く集まる場の上空で飛ばさない事
⑤爆発物などの危険物を輸送しない事
⑥ドローンから物を投下しない事


同じように、農業用ドローンに関連する飛行方法の規制としては、上記①、③、⑤、⑥のルールに反する場合、国土交通省の承認が必要となります。

農薬の散布は、上記ルールの⑤危険物の輸送と⑥物件の投下に該当しますので、必ず守らなければなりません。



国土交通省への許可・申請方法について

ドローン等の無人航空機を、先に紹介した飛行禁止区域で飛行させる場合や、飛行規制ルールに反する形で飛行させる場合には、国土交通大臣による許可または承認を受ける必要が有ります。

ドローン情報基盤システム(DIPS)では、これらの申請書をオンラインで提出する事が可能です。
アカウントを開設し、実際に飛行させたい機体と操縦者の情報を登録し、飛行の許可・承認の申請を行う事ができます。
同じように、飛行実績の報告についてもこちらを介して作成可能です。
飛行実績は3カ月ごとの提出が義務付けられています。


また、2020年7月から、飛行情報共有機能(FISS)への登録が完全義務化される予定となっています。
これは、ドローンの利活用を更に拡大していく為に、国土交通省より導入されたシステムで、航空機・無人航空機を事前に登録し、機体の情報や飛行計画を共有するシステムとなっています。


これらの法規制を踏まえ、国土交通省への許可・申請が完了すれば、実際にドローンを飛行させることができます。



農薬取締法におけるドローン散布の注意点



平成29年12月より、農薬の登録内容で「散布」と記載されている農薬でもドローンによる散布が可能になりました。

ただし、希釈倍数については、陸上での散布で認められている希釈倍数で使用しなければなりません。


陸上散布で認められている希釈倍数(例えば上の画像の登録内容のように2000~4000倍)は、作物に十分付着できる水量を想定されている為、ドローンのように少量タンクでは活用できない問題が有ります。

空中散布用の農薬における希釈倍数は、8倍~16倍が一般的である為、陸上での低い希釈倍数でのドローン散布は、付着量が少なくなる為、十分な効果を得るには難しいかもしれません。
陸上散布とは異なる機能性展着剤の活用についても検討が必用でしょう。


ドローンによる散布だと限りなく小水量散布となる為、少ない付着量で作物全体をカバーしなければなりません。


ドローンの普及拡大が進むに当たって普通作以外の作物、園芸作物においてもドローン登録薬剤は増えてくると思いますが、これから現行農薬の再評価制度も本格化していきますので、まだまだ時間がかかるでしょう。


ドローン等の無人航空機における最新の農薬登録情報について確認したいというかたは、産業用無人航空機用農薬というWebサイトで確認する事ができます。

農薬散布したい作物と病害虫雑草名を選択する事で農薬の絞り込みもできます。



まとめ

という事で、今回は「農業用ドローン初心者の為の導入マニュアル」という事で、実際の運行までの流れと法規制などについても紹介していきました。

無人航空機は、様々な分野で更に普及拡大していくと考えられておりますので、今後も法改正があると思われます。

取り急ぎ、農薬散布を目的としたドローンの利用については、2020年現在、上記の内容を満たせば利用する事ができますので、関心がある方はぜひチャレンジして頂ければと思います。

ただし、法規制に違反した場合は罰金刑等が課せられますので、利用にあたっては十分配慮して下さい。


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