コナガ・アオムシ・ヨトウムシ類(ヨトウガ)の生態と農薬防除のポイントについて。

このページでは、主に葉菜類を作られている畑で問題となる「チョウ目害虫(幼虫)」について、 農薬メーカーさんが作られている資料をベースに紹介していきたいと思います。

それぞれの個体種によって、卵の産み方も異なりますし、食害の仕方も異なりますので、参考にして頂ければ幸いです。


葉菜類畑で問題となるチョウ目害虫(幼虫)は主に9種類います。

最近はツマジロクサヨトウなど、新たに確認された個体もありますが、こういった害虫を除くと、葉菜類畑で問題視されるチョウ目害虫は、おおむね9種類程度です。

冒頭のキャッチ画像は、過去に農薬の原体メーカーであるデュポン社が、トルネードエースDFという殺虫剤を発売した際に作った資料です。

2019年現在、デュポン社は農薬メーカーのダウケミカルとくっついてコルテバという社名に代わっております。
トルネードエースDFの原体元はデュポン社からFMCという会社に移っておりますので、今はこの資料は作っていないと思いますが、非常に見やすいですね。

話を戻しますが、葉菜類畑で問題となるチョウ目害虫を挙げてみましょう。

①コナガ
②アオムシ
③ヨトウムシ類(ヨトウガ)
④ハスモンヨトウ
⑤オオタバコガ
⑥シロイチモジヨトウ
⑦タマナギンウワバ
⑧ハイマダラノメイガ(シンクイ)
⑨ネキリムシ(カブラヤガ)

「よく知ってるぞ!」という方もいれば、「実物を見てもよくわからん!」という人もいらっしゃると思います。
今回は、その中でもコナガ、アオムシ、ヨトウムシ類(ヨトウガ)についてフォーカスしてみようと思います。



コナガの生態と防除のポイントについて

基本的に、葉菜類畑で問題となるチョウ目害虫は、成虫よりは葉を食害する「幼虫」の事を指す事が多いです。
その中でもコナガは発生サイクルが早く、薬剤抵抗性も付きやすい害虫である事から、アブラナ科野菜を中心に特に重要視されています。



コナガはキャベツ、白菜、大根、ブロッコリー、カリフラワーなど、アブラナ科野菜を好んで食害します。

上の画像のように、コナガは、卵を1つずつあちこちの株に産卵します。
卵のサイズはわずか0.5mm程度なので、家庭菜園の方でもなかなか見つけるのは困難です。
あこちの株に産卵する為、初期の食害は広範囲に及びます。

成虫の体長は10mm程度で、他の蛾と異なり、ハネがたたまれた細いシルエットが特長的です。
幼虫は老齢幼虫で約10mm程度の大きさになります。

他のチョウ目害虫との見分け方の1つとして、コナガの幼虫は、葉っぱの薄皮を一枚残したような食べ方をするのに対して、アオムシやヨトウムシ類は、葉っぱに穴を開けながらバリバリ食べます。
畑に入ると成虫の飛来も有るので、それを発生目安にする事もできますが、この食害痕の違いを見てもコナガに加害されているかどうかを判断する事ができます。
また、圃場観察中に若齢の幼虫を見つけた場合、他のヨトウムシと区別できないという方は、幼虫をつついてあげると違いがわかりやすいです。
コナガは刺激に対してピクピク反応し、糸を吐き出しぶら下がったりしますので、その反応からコナガかどうかを判別する事が出来ます。

主に春~初夏にかけての期間と秋に発生のピークがありますが、冬場も発生します。
卵から孵化までにかかる時間は、温度条件にもよりますが、25日前後で、年間10~12世代の発生を繰り返します。

繁殖力が旺盛で、発育も非常に早い為、同じ種類の農薬の連用や、中途半端な取りこぼしがあると、農薬の抵抗性が付きやすいので非常に厄介な害虫です。

幼苗時期は特に注意して防除を心がけ、定植後も発生が見込まれる時期には1週間おきに農薬でのローテーション防除を行うようにして下さい。

畑周りの雑草も、放置していると害虫の発生源となりますので、除草作業も行うよう心がけましょう。

登録作物の種類によって使用する農薬は異なりますが、代表的な薬剤は以下の物が使われています。

●アファーム乳剤
●アファームエクセラ顆粒水和剤(アファーム+マッチ)
●チューンアップ顆粒水和剤
●リーフガード顆粒水和剤
●パダンSG水溶剤
●トルネードエースDF
●アクセルフロアブル
●アクセルキングフロアブル
●ディアナSC
●ファインセーブフロアブル
●グレーシア乳剤
●ベネビアOD
●ベリマークSC(灌注)
●プレオフロアブル
●ハチハチ乳剤
●コテツフロアブル
●カスケード乳剤(IGR系)
●ノーモルト乳剤(IGR系)
●マッチ乳剤(IGR系)
●ファルコンエースフロアブル(ファルコンFL(IGR系)+スピノエース)
●ミネクトデュオ粒剤
●ヨーバルフロアブル
など(順不同)。

効果の速さ、残効はそれぞれの薬によって異なりますので、生産現場では即効的な薬剤と脱皮の阻害または促進剤であるIGR系統の薬剤を混用しながら使っています。

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アオムシの生態と防除のポイントについて

アオムシはモンシロチョウの幼虫です。
体に細かい毛が生えている小型の芋虫です。
キャベツ、白菜、大根、ブロッコリー、カリフラワーなど、アブラナ科野菜を好んで食害します。


アオムシもコナガと同じく、卵を1つずつあちこちの株に産み付けます。
卵の大きさは約1mm程度で、コナガと比べると気持ち大きいくらいです。
成虫は葉裏に産卵する習性が有りますので、家庭菜園の方であれば、モンシロチョウの成虫が飛来しているなと感じたら、葉裏をチェックしてみて下さい。

幼虫は葉脈を残しながら大小の穴を開けながら食害します。

発生時期は主に春と秋で、地域によっても異なりますが年4~5回程度発生します(寒冷地では発生回数は少なくなり、暖地では逆に多くなります)。
老齢幼虫になると3~4㎝程度の大きさになります。
蛹になるまで4回程度の脱皮を繰り返します。

孵化した幼虫は、いきなり葉を食べずに自分が産まれた卵の抜け殻から食べ始めます。

幼虫自体はとても弱いので、成虫が飛来してくるタイミングからの農薬防除でも十分間に合います。
基本的にチョウ目害虫向けの農薬は、アオムシ登録が取れている物が多いので、薬が無くて困るという事はまずありません。

しかしながら、葉裏に産卵する習性がありますので、葉裏を意識した散布を行うようにしてあげると、より防除効果を上げる事が出来ます。

フェニックス顆粒水和剤プレバソンフロアブルベネビアODヨーバルフロアブル等のジアミド系薬剤を入れておけば大多数のチョウ目幼虫は叩けますので、発生が見込まれる場合にはこれらを用いるのも良いと思います。

 

ヨトウムシ類(ヨトウガ)の生態と防除のポイントについて

ヨトウムシ類(ヨトウガ)は、アブラナ科野菜を好んで食害しますが、アブラナ科野菜に限らず、キク等の花き類や稲科植物も加害する食欲旺盛な害虫です。


最近話題のツマジロクサヨトウもヨトウムシ類ですので、同じように多くの作物を加害します。

ヨトウムシ類(ヨトウガ)の発生のピークは地域にもよりますがおおむね4月~5月頃と8月~10月頃の年2回です。
地域によっては3回発生するケースもあります。
6齢を経過すると土壌で越冬します。

コナガやアオムシとは異なり、産卵は「卵塊(卵を一カ所にまとめて)」で産み付けます。
卵自体は0.6mm程度と小さいのですが、塊になっている為、よく観察すると見つける事が出来ます。

孵化した幼虫は、卵が産み付けられた葉を集団で食害し、ある程度食べ終わると移動して他の株を加害します。

他のヨトウムシとの違いは、この卵塊が毛に覆われているかどうかで、ある程度判別する事が可能です。

卵塊が毛に覆われていないようであれば、ヨトウガの卵、卵塊が毛に覆われていて、その毛色が灰白~黄白色であればシロイチモジヨトウ、黄土色の毛に覆われているようであればハスモンヨトウというように判断する事ができます。

幼虫の歩行の仕方についても違いが有ります。
幼虫のサイズが1㎝未満の若齢幼虫の場合、ヨトウガはシャクトリ状に歩きますが、シロイチモジヨトウやハスモンヨトウはシャクトリ状には歩きません。

ヨトウムシ類は卵塊で産卵する為、卵が産み付けられた株は幼虫の孵化とともに激しい食害を受けますが、コナガやアオムシと比べると、産み付けられる株の数も限りがある為、初期の被害株は限定的です。
家庭菜園の方であれば、この卵塊を見つけ次第取り除くだけで、食害リスクを大幅に減らす事が出来ます。

専業の方はこれらの作業をする事は困難だと思いますので、発生が見込まれる時期に定期的なローテーション防除をする事をお勧めいたします。

特に成熟幼虫が結球野菜の中へもぐりこむと防除が難しくなりますので、若齢幼虫の内に徹底して叩いておく事がお勧めです。

苗時の防除であれば、ミネクトデュオ粒剤等のジアミドの薬剤を用いるのも有効です。

生産現場で用いられているヨトウムシ類(ヨトウガ)に効果のある農薬をいくつかピックアップしますので、作物登録を見て活用してみて下さい。

●アファーム乳剤
●アファームエクセラ顆粒水和剤
●アクセルフロアブル
●トルネードエースDF
●ディアナSC
●フェニックス顆粒水和剤
●ベネビアOD
●ベリマークSC
●ファルコンエースフロアブル
●コテツフロアブル
●エスマルクDF
●カスケード乳剤
●マッチ乳剤
●アクセルキングフロアブル
●ヨーバルフロアブル

など(順不同)。


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まとめ

今回は、コナガ、アオムシ、ヨトウムシ類(ヨトウガ)の生態と防除ポイントについて紹介させて頂きました。

冒頭にも書いたように、この中で特に注意が必用なのはコナガです。
アブラナ科野菜などを作付けされている方は、日頃から注意して欲しい害虫の1つです。
卵から成虫までのサイクルの速さと、発生回数が多いという事も有り、農薬防除の取りこぼしや、薬剤抵抗性が非常につきやすい害虫です。

ひと昔前まで、チョウ目害虫の特効薬だったフェニックス顆粒水和剤プレバソンフロアブル等も、現場で多用されてきた事などにより、あっという間に薬剤抵抗性を持たれてしまいました(地域にもよります)。

有効な農薬も、使用濃度の誤り・散布ムラ・必要以上の連用などを続けると、あっという間に「使えない(散布しても意味の無い)農薬」になってしまいますので、薬剤系統を入れ替えながらのローテーション防除を心がけるようにして下さい。

また、チョウ目害虫(幼虫)は、老齢幼虫(成熟幼虫)になると、薬剤が届きにくい所に入り込んでしまったり、虫自体が薬に強くなってしまって防除効果が落ちる傾向が有りますので、なるべく若齢の内に叩いておく事が重要です。
若齢の内に叩いておけば、後から防除するより薬価を下げる事にもつながります。


農薬防除を行う際は、葉裏防除の意識も忘れずに。

葉表から葉裏に成分が抜ける「浸達性」のある農薬や、移行性のある農薬、即効性の農薬だけでなく脱皮の阻害や促進効果のある遅効性農薬などをうまく組み合わせて防除を行うように心がけて頂ければ幸いです。



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