綺麗なだいこんを育てる為に食欲旺盛なカブラハバチ防除をしましょう。登録農薬等に付いても紹介します。

露地栽培のだいこんは色々な害虫から食害を受けます。

土の中の根部(白身部分)はセンチュウ等の被害を受けますし、地上部はチョウ目害虫やハムシ類等の被害を受けます。

今回ピックアップする害虫は、だいこん大好き!な害虫「カブラハバチ」です。



幼虫の見た目は芋虫状なだけに、よくチョウ目害虫の幼虫と誤解されますが、ハチという名前が付くだけあって、ハチ目ハバチ科の害虫になります。

アブラナ科野菜等を好んで寄生・食害する害虫です。
成虫は作物の葉肉内に産卵し、幼虫が葉を食害します。

画像のように真っ黒な幼虫が、太い葉脈(筋の部分)だけを残して、柔らかい部分を激しく食害します。
多発生時には綺麗に葉っぱを食べられてしまう事もあります。


だいこんは葉っぱの部分も根部も全て美味しく食べられる野菜です。
葉っぱの被害が大きければ大きい程、光合成による養分生成にも影響が出ますので、良いだいこんは作れません。

だいこんやカブの場合は、地際部の根部を食害される事もある為、定期的な防除が必要となります。


幼虫の大きさは15mm~18mm程度。
成虫は次々に卵を産み付ける為、1つの葉に対して複数の幼虫が食害します。
寄生数が多い場合は、葉上で食害活動をしている幼虫を沢山見る事ができます。

また、黒い糞が沢山落ちている事でも加害の具合を確認する事ができます。




成虫の大きさは7mm~8mm程度。
黒い羽、体はオレンジっぽい色合いで、少し大きいコバエのようなフォルムが特長的です。
被害の大きい圃場では、幼虫と合わせて成虫の飛来も目立ちます。
 



カブラハバチが発生しやすい条件について

カブラハバチの種類によって産卵回数は異なりますが、平地の場合、発生時期としては春と秋に多く見られる害虫です。
高冷地では夏~初秋の発生が多く見られます。

真夏の高温時には発生が落ち着きますが、少し涼しい時期には発生する害虫です。


成虫は、幼苗等の柔らかい葉を好んで、次々に作物の葉に産卵します。

栄養が足りず弱々しく育っている作物(軟弱徒長苗等)は被害を受けやすいです。
だいこんの場合、葉が繁茂した状態や、日当たりの悪い部分で被害が出やすくなります。



カブラハバチの種類について

カブラハバチは「菜っ葉を加害する黒色の虫=菜の黒虫(ナノクロムシ)」とも呼ばれる害虫で、種類としては、カブラハバチ、ニホンカブラハバチ、セグロカブラハバチが居ます。

素人の場合見分けるのは少し難しいですが、いくつか見分けるポイントがあります。

①カブラハバチ
全体が真っ黒でツルっとした見た目です。

②ニホンカブラハバチ
カブラハバチ同様、黒色ベースですが身体に突起がある為、カブラハバチよりゴツゴツした見た目です。

③セグロカブラハバチ
①②と比べると体の色が少し薄めで、体の側面に黒っぽい斑紋があります。


種類は違っていても、基本的な防除方法は同じです。
幸い、農薬が全く効かないという害虫では無い為、登録薬剤を用いてローテーション防除を行っている場合は、それほど問題にはなりません。



農薬を使わずにカブラハバチを防除する方法について

農薬を使わずにカブラハバチ対策をする為には、作付面積によって限界はありますが、とにかく成虫の飛来と産卵を防ぐ事が重要です。

植え付けのタイミングであれば、できるだけ早く防虫ネットやトンネル掛け(寒冷地の場合等)を行うようにしましょう。

防虫ネットは、他の害虫も侵入させない為に、1ミリ目合い以下の物を使うようにしましょう。
ビニールハウス等の施設の場合は、換気する為の開口部、入口等、成虫が入りやすい所に設置します。


成虫の大きさは7mm~8mm程度ですので、ネットの網目の方が細かい為、侵入できません。
無防備だと画像のように侵入されます。


施設・露地ともに、土中に残っているさなぎ対策も重要となりますので、太陽熱処理で蒸し込むといった対策もとれると尚良いです。


とはいえ、飛来数が多くなる季節は耕種的防除だけでは限界はあります。
他のチョウ目害やアブラムシ、ハムシ類の被害も増えてきますので、ある程度作付面積がある場合は、成虫の飛来が見えだした頃、あるいは幼虫が見えだした頃に農薬でたたくといった対策をとるようにした方が良いでしょう。

カブラハバチ(幼虫)はどちらかというと弱い害虫ですので、家庭菜園の方でも比較的簡単に防除する事ができます。



だいこんのカブラハバチ対策で使える農薬について

2020年5月現在、だいこんのカブラハバチ登録薬剤は以下の物が有ります。
一部割愛している物もあります。
農薬の登録内容は変更になったり抹消される場合が有りますので、お使いになる際は、メーカーHP等で最新の登録内容をご確認下さい。

「I:〇〇」という表記は、殺虫剤の系統分類コードであるIRACコードを指します。
農薬は連用すると薬剤の感受性が弱まって害虫に対する効果も弱くなる場合が有りますので、できるだけ連用を避ける事が大切です。
このコードナンバーを確認し、重複しないように散布するようにしてください。


■カブラハバチ・カブラハバチ(幼虫)で登録をとっている薬剤

●プリロッソ粒剤(は種時/6kg/10a/1回/I:28)
チョウ目害虫、アブラムシ、アザミウマ、ハモグリバエ等にも効果有り。
一番最初のタイミングで使う製剤です。
プリロッソ粒剤の成分は、ベネビアODやベリマークSC、アベイル粒剤、ミネクトデュオ粒剤にも用いられている成分です。

●アクセルフロアブル(収穫7日前/1000~2000倍/2回以内/I:22B)
チョウ目害虫、キスジノミハムシ等にも効果有り。

●アニキ乳剤(収穫3日前/1000~2000倍/3回以内/I:6)
チョウ目害虫、アザミウマ、キスジノミハムシ等にも効果有り。

●エルサン乳剤(収穫30日前/1000倍/2回以内/ I:1(B))
チョウ目害虫、アザミウマ、キスジノミハムシ等にも効果有り。

●グレーシア乳剤(収穫7日前/2000~3000倍/2回以内/I:30)
チョウ目害虫、アザミウマ、ハモグリバエ等にも効果有り。

●スカウトフロアブル(収穫7日前/2000倍/3回以内/I:3(A))
アブラムシ、チョウ目害虫、ナモグリバエ等にも効果有り。

●ディアナSC(収穫前日/2500~5000倍/2回以内/I:5)
チョウ目害虫、アザミウマ、ハモグリバエ等にも効果有り。

●トルネードエースDF(収穫21日前/2000倍/2回以内/I:22A)
チョウ目害虫に効果有り。

●ハクサップ水和剤(収穫35日前/1000~2000倍/3回以内/I:3(A)・1(B))
チョウ目害虫、アブラムシにも効果有り。

●ハチハチ乳剤(収穫30日前/2000倍/1回/I:21(A))
チョウ目害虫(小型)、キスジノミハムシ、ナモグリバエ、アザミウマ、ナメクジ等にも効果有り。

●パダンSG水溶剤(収穫7日前/1500倍/3回以内/I:14)
アブラムシ、チョウ目害虫(小型)、キスジノミハムシ、ナメクジ、ハモグリバエ、アザミウマにも効果有り。

●プレオフロアブル(収穫14日前/1000倍/2回以内/I:UN)
チョウ目害虫、アザミウマ、ハモグリバエ等にも効果有り。

●プレバソンフロアブル5(収穫前日/2000倍/3回以内/I:28)
チョウ目害虫、ハモグリバエ等にも効果有り。

●ベネビアOD(収穫前日/2000~4000倍/3回以内/I:28)
チョウ目害虫、アブラムシ、キスジノミハムシ、ハモグリバエ、アザミウマ等にも効果有り。

●マラソン乳剤(収穫14日前/1000倍/6回以内/I:1(B))
●マラソン粉剤3(収穫14日前/3kg/10a/6回以内/I:1(B))
アブラムシ、ナモグリバエ、ウリハムシ、チョウ目害虫(小型)等にも効果有り。

●モスピラン顆粒水溶剤(収穫14日前/2000~4000倍/1回/I:4A)
アブラムシ、アザミウマ、ダイコンサルハムシ、ナモグリバエ等にも効果有り。

●リーフガード顆粒水和剤(収穫14日前/1500倍/2回以内/I:14)
チョウ目害虫(小型)、アブラムシ、アザミウマ、ナメクジ、ハモグリバエ等にも効果有り。


■他の作物でカブラハバチ登録を持っている薬剤

●コテツフロアブル はくさいでカブラハバチ登録が有ります。
チョウ目害虫、ダイコンサルハムシ等にも効果有り。


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まとめと補足

今回はだいこんの主要害虫であるカブラハバチにスポットを当てて紹介しました。

カブラハバチ防除で時々話が上がる薬剤の中に、I:28のジアミド系薬剤の中で、フェニックス顆粒水和剤があります。
フェニックス剤はだいこんの登録も持っていますが、カブラハバチ幼虫には効果が有りません。
同じ系統の薬剤でもハバチの幼虫に効く物とそうでない物があり、得意不得意がありますのでご注意下さい。

エルサン乳剤等の有機リン剤は、比較的安価な製剤ですが、カブラハバチの幼虫をたたく事ができます。
必ずしも新しい高価な薬剤だけが効くというわけでは無く、古い剤でも対策はとれますので活用して下さい。

しかしながら、先にも挙げたように、だいこんを加害する害虫は、カブラハバチだけでなく、コナガ・大型チョウ目・アブラムシ・ハムシ類等、色々な加害害虫が居ますので、カブラハバチのみをターゲットとする防除では無く、幅広い害虫をターゲットにローテーションを組むと良いでしょう。

家庭菜園の方であれば、アニキ乳剤やハチハチ乳剤、プレオフロアブル、パダンSG等は100ml・100g規格も有り、価格帯としても手が出しやすい製剤です。

定期的に上記の製剤のいずれかを加えたローテーション散布を行えば、カブラハバチで困ってしょうがない!という状況に陥る事はまずありません。

先にも挙げたように、耕種的防除も行いながら綺麗なだいこんを作って頂ければ幸いです。


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