アグロ カネショウ㈱さんのセンチュウ対策商材「ネマキック粒剤」
薬剤系統は有機リン系統、系統分類コードであるIRACコードは1Bというくくりになります。
2020年7月現在の登録作物は、「だいこん、にんじん、ほうれんそう、はくさい、キャベツ、レタス、いちご、なす、トマト、ミニトマト、つるみらさき、メロン、すいか、ピーマン、きゅうり、だいず、えだまめ、オクラ、かんしょ、ばれいしょ、やまのいも、さといも、きく、花き類・観葉植物(きくを除く)、にら」に対して登録を持っています(詳しい登録内容はメーカーさんのHPをご参照下さい)。
同じ有機リン系の殺センチュウ剤としては、ネマトリンエース粒剤がありますが、こちらは2020年7月現在、はくさい、キャベツ、レタスといった大型葉菜類の登録がありません。
ここ最近、アグロカネショウさんのリーフレットがいくつか新しくなりましたので、改めてネマキック粒剤について取り上げながら、センチュウ被害や防除対策等に付いても紹介していこうと思います。
目次
レタスのネグサレセンチュウ被害について
アグロカネショウ㈱さんのネマキック粒剤のリーフレットの中で、レタスのネグサレセンチュウ被害について取り上げられています。
関東以外で配られているリーフレットかわかりませんが、とても見やすい良いリーフレットですので、お近くの農薬取扱店かJA等でぜひチェックしてみて下さい。
ネマキック粒剤を使う必要性について考えさせられると思います。
アグロカネショウ㈱ネグサレセンチュウ対策リーフレットより2枚↓
圃場にもよるかもしれませんが、生産現場で時折見かける被害です。
レタス等に好んで寄生し悪さをするセンチュウに、キタネグサレセンチュウがいます。
キタネグサレセンチュウは作物の内部に寄生するタイプのセンチュウで、レタスの他に、同じキク科である菊や、ナス、トマト、キュウリ、スイカ、ニンジン、だいこん、カブ、ゴボウ、イチゴ、ピーマン、ほうれんそう、トウモロコシ、ダイズ、サツマイモ等、多くの作物に寄生します。
キタネグサレセンチュウは、幼虫から成虫までの期間を通して、土壌中と根の間を行き来し、作物の根を中心に加害します。
加害された部分は壊死して変色するので、ダイコン、ニンジン、ゴボウといった根菜類は表皮が汚くなってしまう為、大きく商品価値を落とす原因となります。
レタスについては成長抑制や欠株といった症状を招く為、注意が必用です。
センチュウ被害により発生が助長されるバーティシリウム属菌病害について
センチュウの加害は、作物によってはバーティシリウム属菌による病害や、土壌病源菌の感染・発病を助長する原因の1つと考えられています。
センチュウの加害によって根周りが傷つくと、その傷ついた部分から病原菌が侵入・感染するリスクが高まります。
バーティシリウム属菌による病害はいくつかの種類がありますが、トマトやナス等では半身萎凋病、イチゴではイチゴ萎凋病、キャベツではキャベツバーティシリウム萎凋病、はくさいでは黄化病、だいこん等ではバーティシリウム黒点病などが有ります。
バーティシリウム属菌は土壌中にいる病源菌で、植物の根から感染し、植物体の導管を通って茎葉部へと移行しながら蔓延していきます。
病害の特徴として、葉の黄化や萎凋症状(いちょう症状=しおれ)を引き起こし、発病が激しい場合は作物が枯死しますが、枯死しなかったとしても激しい生育抑制や生育遅延が生じます。
野菜を加害する代表的なセンチュウの種類などについて
センチュウ類が作物の根などを加害する事で、病害発生を助長したり生育抑制や生育遅延を起こすという点について取り上げましたが、葉菜類を加害する代表的なネグサレセンチュウの中にはミナミネグサレセンチュウという害虫も居ます。
葉菜類ですと、キャベツやはくさいには寄生が確認されていますが、レタスに対しては寄生が無いとされています。
キャベツ・ハクサイ・レタスといった大型葉菜類に寄生するネコブセンチュウ類としては、サツマイモネコブセンチュウ、アレナリアネコブセンチュウ、キタネコブセンチュウ、ジャワネコブセンチュウ等が居ますが、アブラナ科野菜の場合は、圃場にもよりますが、センチュウ被害よりも根こぶ病の方が被害率が高く代表的な病害です。
根こぶ病の場合は、作物に応じてネビジン粉剤、ネビリュウ粉剤、フロンサイド粉剤、オラクル粉剤、ネビモン粉剤等が対象薬剤となりますが、アブラナ科野菜である「はくさい」の黄化病が発生するような圃場は、少なからずネグサレセンチュウが悪さをしている可能性がありますので注意が必用です。
アグロカネショウ㈱バスアミド微粒剤リーフレットより↓
バスアミドのリーフレットも非常に見やすくなりましたので是非チェックして欲しい所です。
このような症状が見られる場合は、バスアミド等の土壌燻蒸剤の利用も検討しましょう。
土壌燻蒸剤は本来被覆が鉄則ですが、バスアミドの場合は使用する際に被覆されない生産者の方も多いと思います。
被覆によってガスを長く留める事で効果が安定しますので、できるだけ被覆をするようにして頂きたいと思います。
その他のセンチュウ類としては、テンサイやアブラナ属野菜に寄生するテンサイシストセンチュウ、ばれいしょ等のナス科植物に寄生するジャガイモシロシストセンチュウ、大豆などに寄生するダイズシストセンチュウ、イチゴに寄生するイチゴセンチュウ等も居ます。
ネマキック粒剤は、ネグサレセンチュウとネコブセンチュウの他に、テンサイシストセンチュウ、ダイズシストセンチュウ、ジャガイモシストセンチュウ、ネダニ類の登録を持っています。
レタスのネグサレセンチュウ対策や、センチュウ加害により発病を助長する可能性があるとされているはくさいの黄化病等のバーティシリウム属菌病害対策には、登録のあるネマキック粒剤の活用がお勧めです。
センチュウ被害が疑われる場合は活用してみて下さい。
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センチュウ類が増えてしまう要因と対策について
■センチュウ類が増えてしまう要因について
センチュウ類が増えてしまう原因としては、連作・同系統作物の作付け体系・栽培管理・圃場管理等によって発生が助長されます。
土壌バランスが崩れてしまっている圃場や腐植酸量が少ない圃場は、土壌中の通気性や排水性が悪くなりがちです。
放線菌等の土壌中の有用菌が少ない地力が無い状況だと、センチュウ類や病源菌が増える傾向に有ります。
このような圃場条件の場合、例えば露地栽培などで大雨に振られたりすると作物の根が弱り養分を吸いにくくなります。
人間と同じように作物も栄養がとれないと体力が落ちて免疫力が低下してしまう為、病害発生リスクも高くなります。
センチュウ類は水と一緒に流れて広がる為、水が溜まるような場所にはセンチュウも溜まりやすくなります。
排水が悪い圃場や水が溜まりやすい圃場の場合、浸水害とセンチュウ害の両方の被害を受けがちになりますので、生育の遅延を助長する要因にもなります。
■耕種的防除や物理的防除による対策について
輪作、えん麦・クロタラリア・マリーゴールド・ギニアグラス等の対抗植物利用、太陽熱消毒、施設では熱水消毒、雑草除去、センチュウ寄生菌の利用等の方法が有ります。
降雨により水が溜まってしまう場合は、ネハリエースやネオカルオキソ等の酸素供給剤の活用も有効です。
■農薬による対策について
作物や対象センチュウによって利用する農薬は異なりますが、土壌燻蒸剤(D-D・テロン、クロルピクリン、メチルイソチオシアネート剤(MITC剤=バスアミド・ガスタード・キルパー・ディトラペックス(2成分の内の片割れがMITC剤))による消毒と、ネマキック粒剤・ネマトリンエース粒剤、ラグビーMC粒剤、バイデートL粒剤、ビーラム粒剤・ネマクリーン粒剤等といった粒剤によるセンチュウ防除が一般的です。
一般的にセンチュウ密度が高い圃場は、燻蒸剤と粒剤のダブル処理を行う事が推奨されています。
まとめ
という事で、今回はアグロカネショウ㈱さんのネマキック粒剤について取り上げつつ、主要なセンチュウ類についてや、センチュウ被害対策についても紹介してみました。
センチュウ被害かな?と思われる圃場が有りましたら、一度センチュウ密度を図ってみる事をお勧め致します。
作物の生育が悪い圃場の場合、土壌バランスが悪くなっている可能性もありますので、土壌分析等を行ってみるのも良いでしょう。
有料になりますが、アグロカネショウさんでも土壌分析を行っています。
アグロカネショウ㈱ 土壌分析事業ページ
他のメーカーさんや農協さんなどでもやっていたりすると思いますので、関心が有る方はチェックしてみて下さい。
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