日産化学の除草剤、ブランド商品に「ラウンドアップマックスロード」という除草剤があります。
主成分はグリホサートカリウム塩
今回はこのラウンドアップマックスロードを散布する為に使う省力ノズル「ULV5ノズル」について特集します。
「ULV5ノズル」は、ラウンドアップの成分粒子に合わせて作られている専用ノズルになります。
今回はこのULV5ノズルを使って、実際に除草剤を散布してみた後の様子と、抵抗性のイネ科雑草(特にオヒシバ)を含む雑草対策として使う事ができるのか?について実験してみました。
前提として、抵抗性のオヒシバに関してはラウンドアップでは十分な効果が得られないとされていますので(抵抗性かどうかは地域性も有ります)、イネ科専用の除草剤を混用散布するという実験を行いました。
その場合、どのくらいの効果が期待できるのか?という事についてレビューしていますので、参考として見て頂ければ幸いです。
目次
ラウンドノズルULV5とはどんな物なのか??
ラウンドULV5ノズルとは、水5Lに対してラウンドアップマックスロードを500ml添加し、10a分散布できる(小水量散布ができる)という画期的なノズルになります。
発売当初は動力噴霧器用しかありませんでしたが、現在はバッテリー・手動用タイプが販売されています。
一般的な背負いの散布器具は、15L前後の水量の物が多いと思います。
皆さんが除草作業を行う場合、雑草に薬液がしっかりかかるように処理をされているのではないでしょうか?
背負いの噴霧器で10aという面積を散布するのは何度も薬液を作り直さなければならないので相当時間がかかると思います。
また、20L近い水を背負って小一時間除草剤を散布するという作業は老若男女をとわず
かなり大変な重労働作業です。
そんな重労働を解決してくれるのがULV5ノズルです。
5Lの水量で10a処理できる!
しかもサクサク散布できる!!
これは使わなきゃ損でしょ!? となるわけです。
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ラウンドULV5ノズルは省力でとても便利ですが、ラウンドアップでは効かない(効きにくい)雑草があります。
ラウンドULV5ノズルを使用するに当たり、問題雑草がいくつかあります。
その代表格が全国的に問題となっているオヒシバ(または別草種のメヒシバ)という雑草です。
地域性もありますが、オヒシバについてはグリホサートカリウム塩の原液でも枯れない超抵抗性雑草もあります。
近年はこれ等の雑草対策として、バスタやザクサといったグリホシネート除草剤を50倍などの高倍率で散布する事で除草作業を行う場面が目立ちますが、根まで枯れる除草剤では無い為、次に生えてくる雑草はグリホサート剤と比べると短くなるというデメリットがあります。
そこで最近は根まで枯れる除草剤にイネ科専門の除草剤を足す事で、 相乗効果を狙った除草作業をするような動きが見られるようになってきました。
チラシでコラボするなど、メーカー間の垣根をこえた除草方法を勧めているメーカーさんも出てきています。
イネ科専門除草剤を散布する際の注意点
イネ科専門の除草剤を散布する際の注意点としては、雑草全体がしっとり濡れるように散布しなければ十分な効果が得られません。
また、イネ科専用除草剤「単剤」でイネ科雑草だけを処理する場合には、除草剤で枯らせる限界葉齢(大きさ)の制限もあるので注意が必要です。
今回行った実験は、ラウンドULV5ノズルを使った省力散布となりますので、雑草全体がしっとり濡れるような散布にはならない為、取りこぼし前提での実験となっています。
あくまで個人的な試験ですので、メーカーさん了承の内容ではありません。
地域性もあるでしょうし、個人の感想程度にご確認下さい。
ラウンドULV5の付着目安
ラウンドULV5を使って薬液を散布する場合の目安は、だいたい画像のような感じです。
白い点々部分に薬液が付着しています。
見てわかる通り薬液が全体的にかかっているわけではありません。
この程度の付着量でサッササッサと歩きながら散布していく為、除草剤の処理時間としてはかなりの短縮になります。
ラウンドULV5ノズルでラウンドアップ以外の除草剤も散布できるのか?
結論から言うと、ラウンドアップ以外の除草剤を用いて、水量5Lで10aの面積を散布する事は不可能です。
これは、ラウンドアップの粒子の大きさに合わせてノズルが作られている為です。
他のグリホサート剤を使ってしまうと、ラウンドアップの粒子とは異なる大きさである為、圧のかかり方等が異なってきますので、ドリフトしたり十分な薬液がでなかったりと、ノズル本来の持ち味が生かせません。
ただ、これらを気にしないという方であれば、散布自体はできます。
同じカリウム塩タイプですとタッチダウンIQがあります。
ラウンドアップよりは主成分が薄めで、2種類の展着剤成分により枯殺力をカバーしています。
また、ちまたで出回っている安価な除草剤は、アミン塩タイプです。
いわゆるグリホサート剤のジェネリック品になります。
ジェネリック品とカリウム塩品との違いは何か?と問われると、成分が違うという事も有りますが、 粒子の大きさが全く異なるという点です。
アミン塩よりカリウム塩の方粒子が小さい為、より雑草体内に成分が入り込み枯殺力を高める製品となっています。
ですので、ULV5を使ってジェネリックの除草剤を散布する場合、かなりの取りこぼしを覚悟した方が良いと思います。
場合によっては満足するような水量で希釈液が出ない場合もあるでしょう。
どちらにせよ、メーカー了承の内容ではありませんので自己責任でご利用下さい。
今回の実験は、ラウンドアップを用いています。
実際にイネ科専門除草剤と混用使用してみた。
私がお勧めするイネ科専門除草剤は主に3種類です。
ナブ乳剤、ワンサイドP乳剤、ポルトフロアブル(アフターエイドフロアブル)。
アフターエイドフロアブルについては、地域限定販売となっています。
こちらは、10aあたり1Lまで薬量散布できる登録となっておりますが、中身はポルトフロアブルと同じで、主成分量も同じです(混合されている他の性剤などはわかりません)。
今回は、ポルト(アフターエイドフロアブル)を用いた試験をしていますが、100Lの水量で、10a当たり1Lを散布する商品となっている為、ラウンドULV5の使用量に合わせた希釈量で散布を行いました。
予想通り取りこぼしは見られるが…
広葉とイネ科雑草が混在する場所で散布を行いました。
散布前
散布1週間後の様子
あくまで個人的な感想ですが、それぞれ単剤で処理する時よりも枯れ始めは非常に速いという印象です。
ごらんの通り、とりあえず広葉はバッチリ枯れました。
イネ科は少し残っている感じがありますが、どれも黄色く当たっている感が見られます。
イネ科専門除草剤でカバーできる葉齢(葉っぱの大きさ)で考えると、かなりダメージが出ているのがわかります。
実際、時間の経過とともに枯れてしまいました。
ちなみにオヒシバの生えている所でも散布しました。
一度グリホサート系の除草剤を散布したが枯れず、再生した株が目立つという所に対して散布しています。
これらは、いわゆるグリホサート剤に対して抵抗性を持っているオヒシバです。
散布直後
散布後1週間
枯れ切っている!という感じは見られませんが、かなりダメージは出ている!
株自体が小さくなっているように見えます。
しかしながら青々している所もあります。
抵抗性雑草でなければ枯れてしまったかもしれません。
本来であれば、イネ科雑草を散布する際には「しっとり雑草全体が濡れるように散布」すべきところですが、ULV5の省力散布でも高倍率のイネ科除草剤との混用であればダメージは与えられるという事がわかりました。
おすすめイネ科専用除草剤について
先にも挙げましたが、一般的なイネ科専用の除草剤をご紹介しておきます。
ナブ乳剤
ワンサイドP乳剤
ポルトフロアブル
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どれもラウンドアップやタッチダウンIQ等のグリホサート薬剤と混用するのに相性の良い除草剤です。
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まとめ
今回実験をしたオヒシバ圃場では、同じ実験区内で完全に枯殺されているオヒシバもありました。
これはどういうことか?というと、同じ圃場の中で強い抵抗性を持ったオヒシバとそこまで抵抗性が出てないオヒシバとが混在しているという事がわかります。
実際、地域性もあり、ラウンドアップ100倍で散布しても枯れてしまうオヒシバも存在します。
上に挙げた実験結果の画像を見て、「この枯れ方ではダメだ!」と考える方もいらっしゃると思います。
ただ、これは考えようで、例えば、プリグロックスL・バスタ・ザクサなどの地上部だけ枯れる除草剤で枯らした場合、グリホサート剤のように根までは枯れない為、特に地下茎で増える雑草等は、次に生えてくるサイクルが早くなります。
抵抗性雑草を除けば、グリホサート剤は根まで枯らすことができる為、次の雑草が生えてくるサイクルも長くなるわけです。
また、少ない水量で処理できるというのは、作業時間も短縮されるわけで、かなりメリットがあります。
ちなみに、別の実験(ULV5ノズルを使わずに通常散布する試験)では、同じカリウム塩のタッチダウンIQに、先に挙げたナブ乳剤、ワンサイドP乳剤でも試験を行いました。
こちらも同じように相乗効果が見られ、オヒシバの枯殺も確認できました。
個人的には枯れ始めがのスピードが速く、相乗効果が見られたなと感じたのはナブ乳剤でしたが、ポルト(アフターエイド)やワンサイドPもほぼ同等の結果が出ました。
倍率によっても変化が異なると思いますし、コストパフォーマンス等の面もあると思いますので、皆さんも色々お試しになってみて下さい。
田んぼの畦畔の雑草対策の場合は、根まで枯らしてしまうとクロ回りが弱くなってしまう為、こういう所についてはバスタやザクサなどのグリホシネート剤やプリグロックスLなどの方が良いと思います。
カーメックスD等を併用すると、抑草期間も長くなりますので上手に活用して頂きたいところです。
話をULV5ノズルに戻しますが、ULV5を設置できる噴霧器には推奨機種があります。
順次増えていくとは思いますが、これから外れてしまうとうまく希釈液が噴出されない場合があります。
推奨機種については、ラウンドアップULV5の製品HPをご参照下さい。
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オヒシバで苦労してました。大変参考になりました。
ありがとうございました。
雑種地でオヒシバが生えてラウンドアップ、バスタを試しましたが耐性がつき
困ってました。ワンサイドPを試してみます。ちなみに20Lの動力散布ではサンサイドPは50ミリ程度で考えてます。適量等あればご教示願います。
平山様
コメント頂きましてありがとうございます。
抵抗性のオヒシバは全国的に増えていますので厄介ですね。
バスタについてはメーカーさんの推奨だと100倍液でキリナシノズルを使用し、雑草全体がしっかり濡れるまで丁寧に散布するという事だそうです。
実際、100倍液でも十分枯れるとは思うのですが、雑草葉齢や温度条件によっては満足する結果が出ないのかもしれません。
圃場レベルでは赤くはなるが地際から枯れないとか、50倍くらいでないとダメだという声もよく伺います。
よく枯れないというお話の中で多いのは、ノズルがラウンドノズルのまま散布しているという場合です。
ノズルの選択と薬剤をしっかり植物体に散布するというのはマストです。
気持ちよく枯らしたいと思いますので、雑草の葉齢を見ながら倍率に注意して頂ければと思います(ザクサの場合も同様)。
ワンサイドPの使用薬量は200~400ml(250~500倍液)です。
メーカーさん(石原さん)の試験事例ですが、7月処理、オヒシバは15~20㎝程度。
タッチダウンIQ100倍+ワンサイドP乳剤500倍の混用、キリナシノズルの処理で31日後は完全枯殺という事例が有ります。
ちなみにワンサイドP乳剤単剤でもイネ科雑草の類はいけますが、スベリヒユや広葉雑草が残りますので、グリホサート剤との混用がお勧めです。
イネ科専用除草剤の類は、バスタ・ザクサ・プリグロ等との混用よりは、グリホサート剤との混用がお勧めです。
オヒシバの葉齢にもよりますが、上記の葉齢タイミングであればワンサイドP乳剤の使用は500倍くらいでも良いと思います。
ラウンドアップもタッチダウンの倍率と同じで大丈夫です(100倍液)。
草丈が30㎝前後であればもう少しワンサイドP乳剤の倍率を濃くした方がよく枯れると思います。
個人的には300~400倍くらいの幅であれば十分ではないかなと思います。
但し、キリナシノズルでしっかり薬剤を散布するというのは鉄則です。
ULV5でも散布できますが、ULV5が推奨する素早い散布方法では高葉齢のオヒシバについてはどうしてもブレが出ます。
もしULV5ノズルを使用するのであれば、オヒシバ区だけは丁寧な散布を行うようにしてみて下さい。
プリグロックスは光合成によって作用するので温度条件関係なく薬液が付いた所が枯れますが、グリホサート剤は天候が良い時、温度がそれなりにある時の方が植物の生長、蒸散が良くなりますので除草剤の効果も安定します。
なるべく晴天が続く時を狙って散布して頂ければと思います。
参考になる内容、ありがとうございます。
皆さんオシヒバでご苦労なされているのですね。
私も水田周りと、雑種地(太陽光発電所)で手間をかけています。
昨年まではどちらでもそれほど目立っていなく、ラウンドアップのジェネリック+シマジン混用で問題なかったのですが、今年に入ってオシヒバが残りだし、バスタを使用するようになりました。太陽光のところは費用が掛かるので非農耕地用を使用していましたが、先月はオシヒバが残ったところだけバスタを使用しました。
つい先日、水田周りはオシヒバが少なかったのでそれが残る前提でジェネリックを使用し、その後ナブ乳液を使用するつもりです。(あるwebサイトで見かけたので)これを単独で100倍と、200倍をテストして今後に生かそうかと思っています。
使用の仕方でアドバイス等頂けましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
吉川様
コメント頂きましてありがとうございます。
ご返信が大変遅くなりまして申し訳ございません。
グリホサート抵抗性のオヒシバは全国的に増えていると思います。
バスタ等のグリホシネート剤は雑草の根まで完全に枯れるタイプの除草剤ではありませんが、100倍液で取りこぼすような場合は50倍未満の倍率処理であればある程度地表面の雑草は綺麗に枯れると思われます。
ラウンドアップ等のグリホサート剤とナブ等のイネ科専用除草剤を併用する場合は、できるだけオヒシバの分けつが進む前の状態(株になる前の状態)の内に対処しておく事がお勧めです。
グリホサート剤とイネ科専用除草剤は相性が良く相乗効果も狙えますが、株になった高葉齢の雑草を枯らすには倍率も濃くなりますし時間も要します。
イネ科雑草を取りこぼして種がこぼれてしまったような所については、登録の範囲内での案内しかできませんが、プリグロックスLを土壌散布(イネ科種子に噴霧)し、発芽抑制するといった対策も取られています。