このページでは、はくさいの黒腐病に対する生態と、予防・防除する為の対策(耕種的防除と農薬による防除)等について紹介していきます。
目次
はくさい黒腐病の生態と感染ルートについて。
はくさいの黒腐病は、 「ザントモナス キャンペストリス pv.キャンペストリス 」という細菌によって引き起こされる病害です。
この病原細菌は、はくさいに限らず、他のアブラナ科野菜等にも感染する病原菌です。
ザントモナス属の病害としては、「レタス斑点細菌病」なども有名です。
■感染経路
①作物の傷口や水孔から泥跳ね等により侵入感染。
②種子伝染。
感染後は植物の導管を伝って急速に広がります。
種子の場合においても、病原菌は種子上で生存する為、発芽とともに増殖感染します。
■菌の特徴
黒腐病菌は乾燥に強い特徴があります。
菌は乾燥状態でも1年以上生存する為、発病が確認されている圃場での作付けは注意が必用です。
菌は収穫後の残渣等と一緒になって土壌に残留、越冬し、次作に影響を及ぼします。
■発病時の様子
▼株が小さい内
黄化→黒変→縮れるように枯死。
▼ある程度株が大きくなってから
外葉の水孔あたりから黄化→葉脈の黒変→病斑の形成→枯死→パリパリになる。
▼根の症状
感染している場合、導管に症状が出る為、根を輪切りに切ってみると導管が黒くなっているのがわかる。
はくさい黒腐病の感染病状↓
黒腐病の病斑の特徴は、葉の縁から淡褐色のV字型のような形で枯れ込む為、見分けがつきやすいのが特長です。
はくさい黒腐病の耕種的防除法について
アブラナ科野菜の連作を避け、イネ科やマメ科の作物を栽培する。黒腐病の多発圃場の場合、3年以上の輪作を行う。
黒腐病菌は種子伝染する為、自家採取の種は使わずに、消毒済みの種を購入して使うようにする。
発病した株は伝染源となる為、農薬防除ができないような場合は、早期に抜き取り圃場外で処分する。
はくさい黒腐病は、とにかく予防に徹しておく事が重要です。
はくさい黒腐病は、アブラナ科の連作圃場で起こりやすい病害で、特に秋口に雨が多いと発生が増える傾向にあります。
台風のような大風や、たたきつけるような大雨が降ると、作物の葉がこすれ合ったり泥や砂がバシバシ作物に当たって人の目にはわからないような大小の傷が作物に付きます。
こういった傷口等から病原菌が侵入し、被害が拡大しますので、黒腐病に対する薬剤防除は、とにかく予防散布に努める事です。
風や雨による影響だけでなく、コオロギやキスジノミハムシなどの昆虫による食害によってできた傷からも病原菌は侵入する為、害虫防除もできるだけ手抜きをしないようにしなければなりません。
畑に入った時の虫の飛来や、夜の街灯や、車に乗っている時の虫の出方などに注意し、殺虫剤についてもローテーション散布を行うようにしましょう。
はくさいのコオロギ対策で用いられている薬剤は、デナポン5%ベイト粒剤やネキリエースK粒剤など。
デナポン5%ベイト粒剤
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ネキリエースK粒剤
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キスジノミハムシ対策ですと、エルサン乳剤やアルバリン顆粒水溶剤、ハチハチフロアブル、アクセルフロアブル、ジュリボフロアブル、アニキ乳剤、ベネビアOD、サイアノックス乳剤などが有ります。
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はくさい黒腐病の登録薬剤やお勧め農薬について
はくさい登録のある殺菌剤で、「黒腐病」に登録を取っている薬剤は、微生物農薬のベジキーパーしかありませんでしたが、メーカー終売品目となってしまいました。
しかしながら、キャベツの黒腐病やレタスの斑点細菌病に登録を持つ薬剤であれば、はくさいの黒腐病に対しても代用が効きます。
これは登録の取得の際に多額の試験費用が掛かる為、あえて病害登録を取得していないという場合があるからです。
はくさいに登録のある殺菌剤で、他作物で黒腐病や斑点細菌病の登録を持っている薬剤としては、以下の物があります。
■定植前に使う農薬
バスアミド微粒剤(前作で多発した圃場は、一度畑のリセットが必用)
オリゼメート粒剤(キャベツ・黒腐病や、レタス・斑点細菌病で登録がある)
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■定植後(生育期~結球期前まで)に使う農薬
シトラーノフロアブル(キノンドー+ダコニール)
ナレート水和剤(スターナ+銅)
ドーマイシン水和剤(銅+抗生物質)
ドキリンフロアブル
ヨネポン水和剤
オキシラン水和剤(レタス・斑点細菌病で登録がある)
マテリーナ水和剤(スターナ+抗生物質)
野菜類登録になっているZボルドー水和剤やコサイド3000水和剤などは、黒腐病の登録を持っていますので、これらについても予防的に用いる事で発病リスクを抑える事が出来ます。
クプロシールドフロアブルなども野菜類登録があり、キャベツでは黒腐病登録を持っていますので、同じように代用ができます。
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■定植後 結球期からでも使える農薬
スターナ水和剤
ソタールWDG(スターナ+リゾレックス)
アグリマイシン-100 水和剤(2種類の抗生物質)
アグレプト液剤、アグレプト水和剤(抗生物質)
バリダシン液剤5(抗生物質)
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銅剤関係は、結球期以降に使うと葉の褐変などの薬害症状が起こる場合がある為、基本的には結球期前までの使用を推奨しています。
銅成分が入った農薬は、散布後、できるだけ早く乾かすようにしてください。
いつまでも乾かない状況は薬害を助長します。
温度条件にも注意しましょう。
また、殺虫剤等と混用散布する場合は、すぐ使わず置いてしまうと、化学変化で混合した薬剤の効力を落としてしまう場合が有りますので、混用する場合は希釈後速やかに使い切るようにして下さい。
葉面散布剤(液肥)の類もボルドー系(銅剤)と相性の悪い物がある為、注意が必用です。
オキソリニック酸製剤や抗生物質系薬剤は、結球期以降でも使う事ができる農薬です。
これらのスペックは、予防+治療効果を有します。
しかしながら、病気が蔓延している場合は病状を止めきれない場合もありますので、天候を見ながら結球期前でもローテーションを組んで用いるのが有効です。
また、土壌のバランスが崩れている場合は、これらの病気を発生するリスクが高まりますので、腐植酸資材(土壌改良剤)の定期的な投入も有効です。
連作によって障害が発生しているような圃場には有効な手段となります。
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まとめ
はくさいの黒腐病は、関東ですと晩秋に多く見られる病害です。
マメに雨が降る時期は特に注意が必用となります。
耕種的防除法+農薬による防除を徹底しつつ、連作等により作柄に異常が出ている場合は、腐植酸資材(土壌改良剤)の投入も一定の効果が有ります(単発ではなく続ける事が必用)。
ザントモナス属の病害は、感染してからの広がりがとても早い為、とにかく初期防除に重点を置くようにして下さい。
怪しい株は早めに抜き取って圃場外で処分し、初期の内から銅成分剤などを用いて堅く育てましょう。
カルシウム系の微量要素剤なども定期的に用いて作物の細胞壁を強化し、病気に強い株を作ってやるのも有効です。
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