こちらのページでは、アミスター20フロアブルとメジャーフロアブルについて、長ネギで使用した際の薬害症状について紹介してみようと思います。
今回の内容はどちらかというと販売者さん向けの内容かもしれませんが、関心が有りましたらご拝読ください。
目次
アミスター20フロアブルとメジャーフロアブルはどんな農薬?
アミスター20フロアブルやメジャーフロアブルはストロビルリン系の殺菌剤です。
FRAC分類コードは11グループに該当し、QoI 剤というくくりで呼ばれる事もあります。
アミスター20フロアブルは、アゾキシストロビン20.0%製剤。
メジャーフロアブルは、ピコキシストロビン22.5%製剤。
有効成分は異なりますが、登録病害や効果面は被る所が多い薬剤です。
ストロビルリン系の殺菌剤は、有効成分が作物体内に入り込む作用が有ます。
製品にもよりますが幅広い糸状菌(かび)病害に対して有効です。
有効成分が作物体内に入り込む作用が有りますので、それを助長するような展着剤との混用は薬害リスクが高まりますので基本的にはNG。
「勧めない」というのがセオリーとなっています。
※具体的にはミックスパワーやアプローチBI等、浸透を高めるような物。
アミスター20フロアブルとメジャーフロアブルに関しては、長ネギにおいてはどちらもさび病・べと病・黒斑病などのタイミングで使われる事が多い薬剤だと思います。
製品についての最新の登録内容はメーカーさんのHPをご参照下さい。
シンジェンタさんのアミスター20フロアブル製品HP
日本農薬さんのメジャーフロアブル製品HP
しかしながらこれらの殺菌剤は「薬害」という話がよく上がります。
メジャーフロアブルついては発売当初、有効成分の粒子の大きさに特徴がありアミスターよりも薬害が出にくいという話がありましたが、結局はアミスターと同じ様に薬害症状は出ます。
私個人としては、どちらが良し悪しという事ではなく、薬害リスクを知った上で使用するのであれば、どちらも甲乙つけがたい優秀な殺菌剤だと思います。
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ストロビルリン系殺菌剤の長ネギに対する薬害症状について
さて、ここからが本題となりますが、アミスター20フロアブルとメジャーフロアブルの薬害症状について見ていこうと思います。
最初に上記の薬剤を使用していないネギを見てみましょう。
定植し、埋め戻しをした5月頃の様子です。
パッと見の通り、ネギの葉はまっすぐ上に伸びて広がりは有りません。
次にアミスター20フロアブルとメジャーフロアブルを処理した様子です。
あえて薬害を助長するような展着剤を添加しています。
バサバサとまとまりがなく広がった様子がうかがえます。
↓アップ画像。
使用状況等によって結果差が異なるかもしれませんのでどちらがどの薬剤か?については伏せますが、ストロビルリン系殺菌剤の長ネギでの薬害症状は上記のように葉が開き葉先がねじれるといった症状になります。
「あばれ症状」なんて言われたりもしますが無処理区と比較するとよくわかりますね。
これらの殺菌剤は、よほど間違った使い方をしない限り長ネギにおいては枯れあがったりするような事はありません。
むしろ、圃場レベルではさび病を止める事だけを目的に、このような症状になる事をわかった上でミックスパワー等を添加して使用するような場面が多々あります。
ストロビルリン系殺菌剤の薬害症状は何が良くないのか?
枯れないなら良いんじゃないのか?という事を思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、長ネギは中耕作業(土寄せ・土あげ)を行いますし消毒もマメに行います。
こんな感じで管理機を入れるわけですが…
薬害症状が出てしまった長ネギは矢印部分のように葉先が横に飛び出していますので、機械を入れる時に飛び出した葉が当たって折れてしまいます。
成育が進むと草丈も伸びますので、生育初期の段階と比べてこの機械を通す間隔もより狭くなっていきます。
中耕や消毒作業をする際に邪魔になります。
「葉が折れる=作物が傷む」という事になりますので、傷口からの病害菌の侵入が高まり更に痛むリスクが有ります。
また、あまりに葉が広がってしまうと、収穫して製品化する際に、ザク又部分が広がりすぎて不格好なネギになってしまうというデメリットもあります。
結局、長ネギにストロビルリン系殺菌剤の使用はどうなの?
個人的な見解ですが、長ネギにストロビルリン系殺菌剤の使用はお勧めします。
冒頭にも書きましたが、アミスターやメジャーといった殺菌剤は登録病害の幅が広く、糸状菌(かび)による病害には有効な薬剤です。
今回は取り上げておりませんがシグナムWDG等もマイルドですがストロビルリン系薬剤を含む良い薬だと思います。
特にべと病やさび病が発生しやすい5月以降は両方をカバーできる薬剤には限りが有りますし、梅雨明け頃から多発してくる黒斑病等のフォローを考えてもストロビルリン系薬剤は外せません。
ねぎ病害は多数の病害が有り、状況に応じて定期的に薬剤処理していく必要が出てきますので、これらの薬剤を使わずに栽培するのは地域や圃場によっては少し難しいかもしれません。
連用についてはケースバイケースなのでここでの記載は控えますが、今回は薬害症状を助長する為に展着剤を添加しての試験事例となっています。
展着剤のチョイスによっても結果は異なります。
まとめ
という事で今回は長ネギでのアミスター20フロアブルとメジャーフロアブルの薬害症状についてピックアップしてみました。
最初から別の薬剤で予防ローテーションを組んでいれば心配ないよという方も居るかもしれませんし、薬害を出してでもこれが良い!という方も居らっしゃるかもしれません。
色々なご意見があるかと思いますが、少しでも参考になれば幸いです。
ネギについての過去記事
ネギの赤さび病が止まらない!?生態と防除対策、登録農薬について紹介します。
ネギのべと病対策をしましょう。さび病や黒斑病等との同時発生にも要注意!
ネギ黒斑病の情報と、防除方法について(お勧めの農薬をご紹介)
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駆け出しです。自分が使っている農薬がどのように作用しているか、また最新の農薬の動向など、いつも勉強になってありがたいです
記事と直接関係ないコメントで恐縮ですが一言お礼申し上げます
今後の記事更新も楽しみに待っております
コメントありがとうございます。
少しでも作付け現場でお役に立てれば幸いです。