こちらのページでは雑草の根まで枯らす除草剤「グリホサート剤」をネギの畝間に散布した時のドリフト被害の様子についてピックアップしてみようと思います。
作物が植わっている状態での畝間雑草処理の場合、販売に携わる方達のスタンスとしては、グリホサート剤を用いるのは基本的に推奨していないと思います。
その理由は、根まで枯らしてしまう有効成分なのでドリフトを考えると非常にハイリスクだからです。
こういう場合に一般的に勧められるのは農耕地登録の有る「グリホシネート剤」や「パラコート剤」等になります。
ブランド名を挙げると、バスタ液剤、ザクサ液剤、プリグロックスL。
これらの除草剤は根まで枯らすタイプの除草剤ではないので(薬剤が付いた所だけを枯らす作用)、程度にもよりますがドリフトした際のリスクはグリホサート剤よりも低くなります。
グリホサート剤にはいくつかの種類が有りますが、生産現場でよく使われる除草剤としては、「アミン塩タイプ」と「カリウム塩タイプ」があります。
アミン塩タイプよりカリウム塩タイプの方が後発品となります。
ざっくり違いを挙げると、「アミン塩」より「カリウム塩」の方が有効成分の粒子が小さいので、植物への吸収量、吸収スピード、枯殺するスピードが速いといった特徴が有ります。
カリウム塩タイプとしては、ラウンドアップマックスロードやタッチダウンIQが代表的ですね。
アミン塩タイプは旧世代の有効成分となりますのでジェネリック品の除草剤が多数で回っています。
グリホサート剤のドリフトによるネギの薬害症状
今回は、カリウム塩タイプの除草剤ではなく、アミン塩41%製剤タイプの物を使った時のドリフト状況について紹介してみようと思います。
ドリフトリスクが有るので推奨できませんが、生産者の方によってはグリホサート剤はネギの作付け場面だと畝間処理で使われている事があります(前半の頃)。
一見ネダニにでもやられたのかな?思ってしまうような症状ですが、ドリフトによる薬害症状です(矢印部分)。
ロロックス水和剤+農薬混用での薬害症状とはまた違った症状ですね。
画像は7月時の様子で薬剤処理はもう少し前になります。
グラカバーを付けて散布していても散布する時の地面とグラカバーとの間隔が開いていたり、処理している時に風が吹いたりすると結構ドリフトします。
画像の状態はかなり薬剤が当たっていますが、使っている方に話しを伺うと、このような状態でもアミン塩タイプは最終的に復活してきてある程度収穫までこぎつけるようです(程度にもよるし時間もかなりかかる)。
畝間の除草作業には個人差があると思いますが、生産現場の一例としてピックアップしてみました。
まとめと補足
ちなみに、ラウンドアップマックスロードとタッチダウンIQは「ねぎ」の生育期中での使用登録を持っていますので、これらのグリホサート剤は登録上問題なく使えます。
但し、ドリフトの程度によって薬害の出方がアミン塩タイプよりひどくなる場合が有りますので、アミン塩タイプ同様に自己判断で十分注意して扱うようにして下さい。
●ラウンドアップマックスロード
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作物名:ねぎ
一年生雑草に対して、収穫30日前まで(雑草生育期:定植後畦間処理)
薬量:200~500㎖/10a
水量:通常散布 50~100ℓ/10a 少量散布 25~50ℓ/10a
使用方法:雑草茎葉散布
使用回数:3回以内
ラウンドアップについてはアミン塩タイプの除草剤やタッチダウンIQと異なり、少量散布という登録が有ります。
生産現場でラウンドULV5ノズルを用いて処理している方も見た事が有りますが、慣れている方は扱い良いという話しを伺った事が有ります。
●タッチダウンIQ
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作物名:ねぎ
一年生雑草に対して、畦間処理:雑草生育期(草丈30cm以下)但し、収穫7日前まで
薬量:250~500mL/10a
水量:25~100L/10a
使用方法:雑草茎葉散布
使用回数:3回以内
タッチダウンIQについてもネギの畝間処理で使っている方は実際いらっしゃいます。
ULV5ノズルを使って散布する事はできますが、同じカリウム塩タイプもラウンドアップとは粒子が異なりますので、厳密にはラウンドアップと全くおなじ内容は求められません。
グリホサート剤を使って畝間除草をする場合は、作物にドリフトしないよう十分注意して除草作業を行うようにしましょう。
また、アミン塩タイプにはジェネリック品が多数で回っていますが、農耕地登録の無い商品も多々あります。
そういった商品は単価的に安く、それなりに枯殺力も有りますが、有効成分以外の所でどんな物が扱われているかは不透明です。
畑に悪影響を与えるリスクも有りますので、畑内で使う場合には登録を取っている商品を扱うようにして頂ければ幸いです。
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