今回はちょっと変わった水稲初期除草剤についてピックアップしてみようと思います。
「マットタブジャンボ」は、日本農薬㈱の水稲初期除草剤。
代かき同時処理はできませんが、代かき後からのタイミングで使用できる除草剤です。
■水口施用の場合
移植直後~ノビエ1葉期 但し、移植後30日前まで
■水田への投げ入れの場合
植代後~移植前7日又は移植直後~ノビエ1葉期 但し、移植後30日まで
この薬剤の面白い所は、発泡タイプの除草剤であるという点と、処理する量によって残効が調整できる(薬剤コストが調整できる)という点です。
マットタブジャンボはお風呂の入浴剤のような製剤で、1袋に10個の錠剤が入っています。
10個の内、5個程度を投入した場合、初期除草剤としての効果。
2週間程度の残効が有ります(目安)。
10個全てを入れた場合は初期一発剤としての効果があります。
残効は2~3週間程度(目安)。
投入量が調整できますので、コスト意識の高い方にもお勧めです。
残効は圃場の水もち具合等、環境によっても大きく変わってきますので、あくまで参考となります。
マットタブジャンボの殺草スペクトラムについて
マットタブジャンボは、クミルロンとテニルクロールという2つの除草成分を含有した製剤です。
クミルロンは、多年生のカヤツリグサ科雑草やSU抵抗性ホタルイに高い除草効果が有ります。
テニルクロールは、ノビエ、コナギ、アゼナ等の一年生広葉雑草やタマガヤツリ等にも高い除草効果が有ります。
雑草イネ対策剤としても実用性が有る成分です。
クログワイについても体系防除は必要ですが、初期防除としては効果が有ります。
マットタブジャンボの拡散性能について
タブ状の除草剤というとモゲトンジャンボを想像する方も多いと思いますが、マットタブジャンボはそれとは全く異なります。
マットタブジャンボの投入直後の様子。
投入した瞬間から発泡が始まります。
ほんの数秒で、お風呂の入浴剤のように激しく発泡します。
約10秒後の様子。
タブのまわり一面は崩壊した成分で真っ白です。
1分も経つとほとんど溶けてしまった感じです。
この製剤は水口施用もできますし、遠投もできます。
ジャンボ剤と同様、ある程度深水(水深5㎝以上)にしておけば十分拡散性に優れる製剤です。
まとめ
初期剤は色々な製剤が有りますが、ジャンボ剤は限られますし、フロアブルはクロ回りを歩くのが面倒です。
そうかといって、代かきをしながら使える初期剤は、昔からある物しかない為、スペック的には今一つな感じがあります。
マットタブジャンボの製剤自体も決して新しい物ではありませんが、SU抵抗性雑草や雑草イネに対する効果があります。
仮に投げ入れて圃場の土にめり込んだとしても、拡散性に優れる為、問題となりません。
除草剤散布に不慣れな方でも扱いやすいハンドリングの良さが有りますし、指示する側は、水田のこことそこに1個ずつ投げ入れて!という指示だけで済むので、散布のやり方などを細かく説明する手間が省けるといったメリットが有ります。
あくまで初期剤なので、この後の経過に合わせて初中期一発剤や中後期剤を使う流れとなりますが、水田管理に初期剤を用いるのは有効ですので、こういった製剤も試して頂けると面白いと思います。
スポンサーリンク
Amazon:水田除草剤 検索